子猫の暴動ではなくマンコの暴動—ネトウヨ春(夏)のBAN祭り[3]-(松沢呉一)-2,381文字-
「ヘイトスピーチという言葉さえ知られていなかった頃—ネトウヨ春(夏)のBAN祭り[2]」の続きです。
朝日新聞の記事をどう評価するか
以下は2週間前に朝日新聞デジタルに掲載された「BAN祭り」と「裸祭り」についての記事。
コメントを出している木野寿紀を筆頭に、この記事に対して強い批判をしている人が多かったですが、そうも批判するほどのもんかなあ。
両論併記をいたって単純に批判している人たちを見ると、朝日新聞を擁護したくなってしまいますが、私にも不満はあって、この記事がダメなところは正確に情報を受け取りにくいところにあります。これはこの記事だけの問題ではなく、朝日新聞全体、さらには大手メディア全般に見られることなので、この機会に触れておきます。
「ネトウヨ春(夏)のBAN祭り」「ネトウヨサイト裸祭り」という言葉を新聞が出しにくいのはわからんではなく、ましてハンJ民は出しにくいのでしょうが、ちゃんと名称があるんだから、少なくとも祭りの名称は出した方がいい。両者は関係しつつも別の動きであることがわかりやすくなるし、ネットで検索して情報を探しやすくなります。この名称がないと、そのキャッチーさがあったから広がったことまで理解しようがなくて、ありきたりの社会運動のひとつに見えてきてしまいます。
また、「匿名掲示板サイト」ではなく、「5ちゃんねる」と書けば読んだ人がそこにアクセスでき、検証もしやすくなります。その時に「BAN祭り」とわかっていればスレッドも探せますが、そうじゃないと探すのに苦労して、途中で挫折する人が激増してしまいます。とくにお年寄りは辿り着くまでに息絶えます。
こういった言葉を出さないところに「下品なものは相手にしていない」という新聞の意識が透けて見えます。おそらくネットを今も低く見ていて、読者が元情報にアクセスできるようにリンクをすればいいだけなのに、それもやらない。紙媒体にURLを出してもあまり意味はないですが、デジタル版では出すべきです。
以前に比べると改善されてきているようにも思いますが、読者がソースに当たれるようにした方がいいに決まってます。報告書の類いが公開されているのに、リンクをしていないために元ネタにアクセスするために苦労することがあるのですよ。元ネタの報告書にアプローチされると、いい加減なまとめ方をしているのがバレることを恐れるんですかね。
下品だからカッコいい
やっぱプッシー・ライオットはかっけえ。
ソチ・オリンピックの際には、民兵からの暴行を受け、すぐさまそれをMVにして公開。
今回はワールドカップが終わって新曲のMVを公開し、併せてロシア政府への要求を公開。
プッシー・ライオットの記事をいっぱい出してきている「ビバノン・ライフ」へのアクセスも急増したのですが、いかにプッシー・ライオットの記事が少ないかの証明です。
驚いたのは、今回のことで初めてその存在を知ったという人たちがいることです。積極的に興味を抱かないと接点がないレベルの存在だったらしい。たしかにソチ・オリンピックでも、海外では大手の新聞が揃ってその動向を追っていたのに、国内では一部音楽メディアが積極的に追っていたくらいでしたから。
上品メディアは下品なプッシー・ライオットを取り上げにくいのです。上品な日本のフェミニストたちは下品なプッシー・ライオットを支援しないですし。男社会に媚びるために上品を装っているだけですけどね。
子猫じゃなくマンコ
以下はプッシー・ライオットがワールドカップ決勝に乱入したことを報じる共同通信の記事です。
【モスクワ共同】ロシアのスポーツ紙スポルト・エクスプレス(電子版)によると、15日に行われたサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会決勝、フランス―クロアチアの後半立ち上がりに女3人と男1人がプレー中のピッチ内に乱入し、警備員らに拘束された。この影響で試合が一時中断した。
同紙によると、4人はプーチン大統領を批判するパフォーマンスを続けてきた女性パンクバンド「プッシー・ライオット(子猫の暴動)」の関係者とみられ、政治的な活動の一環で乱入したというが詳細は不明。
子猫の暴動(笑)。まだこんなことをやっていやがる。このプッシーはマンコだってば。猫キャラを使っていることがあるので、子猫にかけているところもあるにせよ、おもにマンコ、真意はマンコ。乱入したのは子猫じゃなくてマンコ。一人はチンコ。
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