松沢呉一のビバノン・ライフ

出せる乳・出せない乳—古い絵葉書[3]-[ビバノン循環湯 420] (松沢呉一)-2,257文字-

戦前の女子同性愛表現—古い絵葉書[2]」の続きです。

 

 

 

 

ヌード絵葉書は御法度

 

vivanon_sentence文章では男子同性愛以上におおっぴらに取り上げられていたようにも思える女子同性愛ですが、それがはっきりと写真で表現されるようなことがあったのかというと、私は記憶がない。そういう記事にイラストが添えられたことがあったか、サッフォー等の伝説を表現する海外の絵画が紹介されたことがあったかもしれないくらい。

でも、なんかないかと思って、うちの中を探しましたさ。Facebookはポルノめいた写真はNG、乳首NGなので出さなかったのですが、以下の絵葉書は女性同士が乳繰り合っているように見えなくもない。

 

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これ、ムチャクチャ古く見えますが、薄汚れているだけです。髪型からして明治末期のものです。十分古いですけど、明治末期だとそんなに古くなくて、明治前期になると「古い写真」という印象になるのが古いものが好きな人たちの感覚です。「古写真」という言い方がありますが、この言葉は幕末から開国の頃のものを指します。

こういうヌードの絵葉書はもっぱら国外向けです。土産用に販売したり、海外に輸出したり、国内から海外に郵送したり。海外に送られたものは横浜の消印がついていたりします。外国人居住地からだったら、送れたのかも。あるいは大使館員であれば特権があったかもしれない。

国外向けの絵葉書はそれ用の仕様になっているのですぐにわかるのですけど(「郵便」や「切手」が英語なりフランス語なりで書かれている)、ここに出したのはそうではないので、違法に製作、販売されたものかと思います。写真では切れてますが、よーく見ると文字が入っていて「夏の雪 眞美集其十一」と書かれているように見えます。このシリーズは何点か所有していますが、たぶん好事家向けにこっそり作られたシリーズものではなかろうか。

当時、女同士の性的行為を男が見て楽しむというようなことがあったのかどうか。どうせ非合法領域でやるならもっと露骨に表現しそうですから、そういう感覚自体がなかったのかもしれない。

それにしても、当時はこんなものでもおおっぴらに出せなかったのかと驚くところですが、出せなかったようであります。裸体画はよくても写真はNGです。しかし、簡単に「ヌード写真は公開できなかった」とは言えない。

 

 

雑誌の外国人ヌードはOK

 

vivanon_sentence出版物には外国もののヌードが掲載されています。

 

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ギャング」昭和7年5月創刊号より

 

 

ギャング」昭和7年6月号より

 

なんで「ギャング」という雑誌ばっかり出てくるかというと、この雑誌が面白くて、メルマガ用に全号読破しようと試みているものですから。当時いくつか出ていた実話雑誌のひとつで、ポップなのです。

おそらくこれらの写真はフランスあたりの雑誌から無断転載しているのでしょうけど、アート・テイストだからいいってわけではなさそう。日本人だと水着やセミヌードどまりで乳首は出ていませんから。となると、外国人がモデルだから、または外国の写真だからいいのか。

 

 

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