もし私が聖マリアンナ医科大の受験担当だとしたら数字をこう調整する(松沢呉一)-2,788文字-
聖マリアンナ医科大が不正していると決めつけてはいけない
「聖マリアンナ大学の二次試験以降の女子合格率が低過ぎる問題」が話題になっているみたいですが、いち早く「医大・医学部の女子率調査—東京医科大女子減点問題[中]」で指摘済みです。ぶっちぎりです。
しかも、私の分析は冷静です。
以下のハフポストの記事を見ると、いかにも聖マリアンナ大学がインチキしているしているみたいに見えましょう。
うーん、「ビバノン」を講読して、もうちっと慎重に数字を分析した方がいいと思うな。
私としても聖マリアンナ大学が不当に数字を操作している可能性を否定できる根拠をもってないですが、そう断定する根拠もない。
あれはいたって合理的な選別、かつ性差別とは言えない手続きを経た結果である可能性が十分にあります。推薦枠の数字までを検討しないと、それに気づけないでしょう。それをやった私は徹夜しただけありますよ。
「医大・医学部の女子率調査—東京医科大女子減点問題[中]」でこう指摘しました。
指定校推薦入学の合格者における女子率は68パーセント、一般公募制推薦入学の合格者における女子率は90パーセントで、圧倒的に女子が多い。普段の成績は女子の方がいいですし、たぶん偏差値高い系女子高が指定校になってましょう。神奈川ですからフェリスとか。
(略)
すべて合わせて入学者の女子率を出すと、39.1パーセントにもなります。
(略)
調整するなら、推薦枠で調整した方がいいと思うのですが、推薦枠は高校との関係がありますので、そこは動かせず、その分、女子率が高くなり、一般入試枠で調整せざるを得なくなっているのではないかと思えなくはない。
慎重な書き方でしょう。
推薦枠の数字までを含めて合格者の女子率を出すと、聖マリアンナ医科大は女子率が他よりダントツで高いのです。受験生における女子率は42.3パーセントですから、入学者の女子率はそれよりも少ないですが、聖マリアンナ医科大は他の医大より定員が少ないので、ほとんど誤差の範囲かと思います。つまり、全体の数字を検討すると妥当なんです。
推薦枠での女子率の高さを確認する
それにしても、二次試験以降で調整していそうではあって、この部分だけを見ると女子に不利になっている可能性はあります。一般受験の生徒にしてみると、推薦枠なんて知ったことではないですから、自分が落とされるのは納得しにくく、不当と言えてしまうわけですけど、これを言い出すと、試験を受けない推薦という制度自体が不当ということにもなってきます。
しかも、二次試験以降であえて女子を落としたのではない可能性もあるのです。徹夜しただけではここまではなかなか気づけないと思います。私は長年差別問題について考え続けているだけのことはあります。
こういう時は「自分が聖マリアンナ大学の受験担当だったら」と想定してみればいいのです。私はとっくにこの作業をやっていて、名刺まで作ってます(ウソ)。
まず推薦枠について確認。フェリスの校名を出したのは神奈川ってことと、賢いってこと以上に意味はないのですけど、以下はフェリスの今年度の進学先。
聖マリアンナ医科大に3名入学しています。1名は浪人。推薦か一般かの別は不明です。
以下は女子学院のサイトから。
おそらく枠は1名です。
以下は鴎友学園。
現役3名、浪人2名。ここも推薦枠は不明。
そりゃあさ、私が医科大の受験担当だったら、この辺の高校の生徒が欲しいですよ。賢いし、理科系に強いし、解剖が好きだし。外科系の診療科を選択してくれる可能性も高い。
「偏差値高い系女子校」では理科系のみならず、実践的な英語にも力を入れてます。フェリス、女子学院、鴎友はキリスト教の部分でもピッタリ。これらの学校から生徒が入ってくるのは大歓迎でしょう。
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