問題提起はよかったのだが—西川史子の発言を検証する[上]-(松沢呉一)-2,571文字-
東京医科大の問題は医療界全体の問題
相変わらず中川えりなは面白くて、「相談がある」というので恋でもしたかと思ったら、「どうしてみんなペットの殺処分のことは語るのに、死刑制度のことは語らないんだろう」と言います。さすがだと思いました。
彼女が主宰するジン「Making-Love Club」を読んでいても、「おお、この視点はいいな」としばしば感じます。とくに死刑については彼女の思想信条に関わるので、不思議でしょうがないみたい。
私はこんな話をしました。
「前からそんなもんだったかもしれないけど、情報を多く処理しなければならなくなると、わかりやすさに食いつくようになる。時間をかけて調べて、考え抜いて答えが出た時には、もうみんな次のネタに食いついているから、時間がかかることは効率が悪いんだよ。殺処分だって、ゼロにするためにはどうしたらいいのかを考えなければならないんだけど、そこまでは踏み込まない。東京医科大の問題も、その背景に何があるのかを見ておくべきだし、医療関係者はそれを指摘しているのだけれど、それは面倒だから触れないよね」
彼女は「それを知りたい」と言うので、彼女も前に会ったことのある知人の医師に話を聞くことになりました。「Making-Love Club」に掲載される予定なので、一部だけこちらに書いておきます。
まず私が知恵を絞った画期的アイデアは箸にも棒にもかからないものだったと判明しました。その旨、追記をしておきました。
はっきりダメだしをくらったのはこの点くらいで、「東京医科大特有の事情があった—東京医科大女子減点問題[下]」に出した就業率のグラフは彼もわからない点があって、これも追記しておきました。
それ以外では、私がここまで書いてきたこと、感じていたことはそう大きくは間違ってなかったと言っていいかと思います。
※彼女はSNS的コミュニケーションには距離を置いていて、ほとんど更新されていないFacebookの「Making-Love Club」アカウント。Making-Love Clubでは次号の広告募集中。
西川史子の発言は軽卒すぎたけれども
ここまで出すタイミングを逸したまま、時間が経ってしまいましたが、以下はテレビでの西川史子の発言を拾ったJ-CASTニュース。
この記事によると、「サンデー・ジャポン」でこう発言したそうです。
「(成績順で)上からとっていったら女性ばっかりになっちゃうんですよ。女の子の方が優秀なので。(そうすると)眼科医、皮膚科医だらけになっちゃうんですよ。世の中が」
「重たい人の股関節脱臼を背負えるかっていったら、女性は無理。(女性は)外科医は少ない。やっぱり外科医になってくれるような男手が必要。お腹が大きくて手術はできないんですよ」
「だから女性と男性の比率はちゃんと考えてないといけない。男性ができることと女性ができることって違うから、それは(合格者の)比率として違っても仕方がない」
中川えりなによると、翌週、西川史子は謝罪をしていたらしい。相当叩かれたんですね。
外科医の件はいち早く私も指摘していたわけですが、簡単に解消できる問題ではないこともあってか触れにくいみたいで、そんな中、これを取り上げたこと自体は評価できます。
ただし、この発言は軽卒な上に正しくない内容があるので、データとその医師の証言をもとに細かく確認していきます。
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