松沢呉一のビバノン・ライフ

女優たちが笑顔を作り出した—古い絵葉書[10](最終回)-[ビバノン循環湯 431] (松沢呉一)-2,040文字-

フランス人の笑顔・日本人の無表情—古い絵葉書[9]」の続きです。

 

 

笑う大正芸者

 

vivanon_sentence一連の水着写真は日本で国内向けに製作されたものとは思えず、一般に歯を見せて笑っているのが出てくるのは大正に入ってからかと思います。それも数は決して多くはない。

 

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デートしたい。これも写真館での撮影じゃないかと思いますが、着物から見ても大正時代でしょう、おそらく。

 

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性格がよさそうで、このタイプもわりと好き。年齢が高いように見えますが、舞妓さんです。彼女は他でも見たことがあって、そっちも笑顔だったので、笑顔が売りだったかも。

笑顔の写真になると急にモダンな印象になります。伝統的な装いの芸者でも、大正モダニズムって感じが醸し出されるのです。近代化とともに日本人は写真を撮る際に笑うようになっていく。

それでも、これより例の明治の水着シリーズの方が色合いが派手でクッキリしてましょ。

 

 

女優の登場が日本人の表情を変えた

 

vivanon_sentenceこのきっかけになったと思われるのは女優です。彼女たちはボスターや雑誌、絵葉書で笑顔を見せ、歯も見せるようになります。

 

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誰か知らないですけど、映画女優かと思います。これは昭和のものでしょう。

 

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これは昭和のシリーズもので、ジネアという化粧品メーカーの宣伝用絵葉書。この人は昭和初期に活躍した浦波須磨子という松竹の女優さんです。ほんのり笑顔。こういう表情でさえかつてはほとんど見られませんでした。

 

 

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