AVの影響か?—精液の後始末(中)-[ビバノン循環湯 446] (松沢呉一)-2,313文字-
「オナニーで体に射精する流派—精液の後始末(上)」の続きです。
ビデオの影響ではないとの証言
当初私はAVの影響を考えていた。
かつてのエロ雑誌で精液が見える写真はほとんどなかった。しかし、AV以降は、エロ雑誌でも、体や顔にかかっている写真が出るようになる。そのため、わざわざ疑似の精液まで使う。さらにAVでは出る瞬間も見られる。ノンケAVでもホモAVでも、ティッシュに出すシーンを見ることはまずないわけで、そう考えれば、若い世代ほど、それを真似て体に出す方法を好むことの説明がつく。
とりわけゲイでは、男のオナニーシーンがズリネタになるのだから、射精に欲情できる。生身のセックスをする前に、その方法が擦り込まれる。となると、ゲイの方がよりこの方法を好むことも説明がつく。
ところが、どうも違うようだ。AVに関係しているのだとしても、単純な関係ではないみたい。
改めてゲイの若い世代に詳しく聞いてみた。
まずは26歳。
「何も考えずに体に出していた。“なんで“って聞かれても理由はない。逆になんでティッシュに出すのかわからない」
「だって、拭くのが面倒じゃないか」
「2秒か3秒のことじゃないですか」
「そう言われればそうかもしれないけど、精液がつくと体を洗いたくならないか?」
「そのあとシャワーを浴びることも多いですけど、浴びなかったとしても、気にならない。自分の精液ですから」
「拭く前に寝てしまうことはない?」
「それはないですね。寝る直前にはあまりしないかな」
「その方法はビデオの影響ではない?」
「オナニーは中学の時からやっていて、その時からずっと体に出してました。ホモビデオを見るようになったのは大人になってからだから、その影響は考えにくい」
手に出す流派
今現在、ティッシュを出す人でも、かつては体に出していたのがいる。
彼は24歳。
「高校くらいまではよく体に出してました。手のひらを上から押しつけてこする。だから、腹に出すというより、手の中に出す感覚の方が強いかな」
「ということは、出る瞬間を見たいってことではないんだ」
「それはない。見ようにも見えないですから。でも。手に射精する感覚がよかったりもしたかもしれない」
「手の立場になると、誰かのチンコをいじって射精したってことになるのかな」
「ハッキリと意識していたわけではないけど、自分の手で誰かのチンチンを触る、ないしは誰かの手が自分のチンチンを触っているって興奮はあったかも」
「手で押さえるってことは、精液が直接腹ににかかるわけではないんだ」
「手に出て腹に垂れる。だから顔まで飛ぶことはない。そのうち、ゲイ雑誌やビデオを使うようになって座ってすることが増えて、その頃から押しつけるのではなく、握るようになりました。ティッシュを使うようになったのは座って握る方式になったせいかと思います」
彼もAVを使用する前の方が体に出していたのである。
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