松沢呉一のビバノン・ライフ

熟女マニアを襲う恐怖—セックスにくっついてくる厄介なもの[中][ビバノン循環湯 460] (松沢呉一)-3,974文字-

「性感染症(STD)についての相談—セックスにくっついてくる厄介なもの[上]」の続きです。

今回登場する人間の許可は得てないですが、そもそも長田長治という名前は私が命名したものであって、虚構の存在と思っていただければ。

 

 

 

熟女マニアからの相談電話

 

vivanon_sentence拙著『熟女の旅』に出てくる熟女マニアの長田長治からも以前相談があった。

こいつはひどい男で、ああも熟女を礼賛し、小娘をバカにしくさっていたくせに、今は28歳の小娘と一緒に住んでいるのである。一般に28歳を小娘とは言わないが、長田長治の場合は実年齢から20歳程度引く必要がある。長田長治にとって38歳はピチピチのギャル、28歳は8歳くらい。完全に犯罪。

「松沢さん、仕事の話じゃなくて申し訳ないんですけど、ちょっと相談があるんです」

「どうせロクな話じゃないんだろう」

「まあ、そうなんですけど」

まったく申し訳ないこと甚だしい。現在彼は某誌の編集長のくせに、仕事の依頼はしてこず、相談ごとばかりである。「こういう場合の著作権はどう考えたらいいんでしょう」なんて、どうして私が他の人の原稿についての相談に乗らなければならんのか。

しかし、今回は仕事の相談でさえなかった。

「どうやら性病になったみたいです」

ホントにロクな話ではない。

「彼女かよ。小娘と一緒に住むからバチが当たったんだろ」

「いや、それはないと思いますよ」

「んなもん、わかるかよ。君がよそで遊んでいるように、女だってどこで何しているかわかったもんじゃないって。とくに女の場合はクラミジアや淋病に感染しても症状が出なくて、何年も潜在することがあるから、前々から彼女は病原菌をマンコに飼っていたのかもよ」

「いや、たぶんホテトルだと思うんです」

「なんだよ、まだそんなところに行っているのか」

「だって、彼女は28歳ですからね。いくら好きでも、性的には不満が出てくるじゃないですか」

「だから無理をしちゃいかんて。堂々熟女とつきあえばいいのに。20代なんてガキにしか見えないって言っていたのに、そんなガキと一緒に住むからバチが当たったんだよ。で、ホテトルでナマでしたんか」

「いやいや、しないですよ。病気が怖いからゴムつきのホテトルに行っているわけで」

「フェラは?」

「それはしてもらいました」

「生か」

「生です」

「だったらそれだな」

「やっぱり生フェラはまずいんですよね」

「そりゃそうだ。ピンサロで梅毒に感染したのだっているよ」

「エッ!」

あるライターの実話である。梅毒は感染力がそうは強くないので、ピンサロで感染することは多くはないだろうが、そういうこともある。

Syphilis by Franz Mracek, 1898

 

 

異常を放置することが招くさらなる恐怖

 

vivanon_sentence「君の場合も梅毒だろ」

「やめてくださいよ」

「ピンサロだと、本人は感染していなくて、口の中に残っている前の客の精液で感染することが多いんだけどね」

「そうなんですか!」

こういう話は私の本に書いてあって、彼にも送ってあるはずなのだが、読んでないのだろう。どこまでも失礼なヤツだ。

「でも、ホテトルだったら、口内発射はないだろ」

「まずないでしょうね」

「そのホテトル嬢は喉に感染していたのかもね」

「そんなことがあるんですか!?」

これも私の本には書いてある。

「あとは中国エステにも行きました」

「相変わらずいろんなところに行ってるな」

「だって一緒に住んでいるのが28歳だから」

一緒に住んでいるのが28歳だからって、22歳の中国人にチンコをこすってもらわなくてもよさそうなもんだが、彼は外国人も好きで、外国人だと若くてもいいんである。

「エステでフェラはあったか」

「ないですよ。手コキですよ」

「前の客の精液が手についてない限り、手コキじゃ感染しないぞ」

「でも、タオルが臭かったんですよ」

「安いリネン屋だとタオルが臭いことがあるからな。店で洗濯していることもあるし。よっぽどケチらないとタオルの使い回しはしないと思うけど、なんにしたって、早く病院に行けよ。ほっとくと別の病気に感染しやすくなるぞ」

これも私の本に書いてあるが、病気を放置すると、炎症部分から感染しやすくなる。HIVに感染する人も、淋病や梅毒をその前から持っている人が多いのである。HIVの感染力は弱いので、感染するには「炎症がある」「体力が落ち、抵抗力が落ちている」などの要素が加わっている可能性が高い。すべてがそうだとは言えずとも。また、放置をすると、同じ病気の別タイプの病原菌が入り込んで、治療が難しくなることもある。

つまり、早期発見、早期治療を心がけていれば、重大な事態にはなりにくいのだ。あくまでなりにくくなるだけで、なる時はなるわけだが。

Diseases of the skin, 1919. ” Feigned eruption ( Dermatitis artefacta) “.

 

 

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