松沢呉一のビバノン・ライフ

Facebookの問題点—インターネットより狼煙の時代[1](松沢呉一)-2,145文字-

文字数ケチって情報劣化—障害者スポーツのポスターと「#ケチって火瓶」」からなんとなくつながってます。

 

 

 

Facebookの脆弱性

 

vivanon_sentenceFacebookは大丈夫なんですかね。大丈夫じゃないからこんなことになっているわけですけど。

数日前の報道。

 

 

2018年10月13日付「毎日新聞」より

 

 

私は知られて困るような情報をFacebookに提供していない。知られても困らない情報だって無闇には提供しておらず、卒業した学校や住所も登録してない。他のSNS等のサービスとの連携やアプリも最小限に留めているため、そちらまで辿られて、重大な秘密が漏れることもない。

漏れたところで困りはしないので、Facebookの漏洩問題は発覚して以降、さして気にしていなかったのですが、知人に「メッセージの内容も漏洩している可能性がある」と教えられて、急にビビリました。「そっか、メッセージもFacebookのうちか」と思って検索してみたら、Facebook側は今のところその可能性は低いと言ってます。可能性が低いってことは可能性があるってことなんじゃないんか。

 

 

メッセージの漏洩で別次元に突入

 

vivanon_sentence私のメッセージの内容までが漏れると、ヘロインの受け渡し方法や米大統領選のデマ工作、昔三億円を強奪したこと、帝銀事件や下山事件に関与していたことなどの悪事がすべてバレます。

バレて炎上すると、「ビバノン」の登録者が増えることが期待できるので、その辺はバレてもいいとして、あっちこっちでスウィートな愛を囁いているのが漏れるのはまずい。んなことしてねえよ。

でも、金がなくて新潮社に印税の先払いをお願いしたのがバレるのは恥ずかしい。これは実話。先にバラしておけばバラされまい。『魔羅の肖像』の文庫でもやってもらいましたが、新潮社は、発売が決定し、原稿が揃って以降に頼めば印税の一部を先払いしてくれるのです。ありがてえ。

これって公開してもいいんだっけな。どうせ漏洩するからいいか。つうか、大手はどこもこの制度があるんじゃなかろうか。本が出る前に著者が餓死したら困りますからね。餓死が話題になって売れるから、その方がいいのか。版元にとってこの制度は痛し痒し。

他にもバレるとまずいことがないわけでもない。非公開だからと警戒心が緩んで怪しい情報をメッセージでやりとりしていることがあります。ただ、そういう場合でも「飲み屋話として聞いた話で裏はとれていない」「誰それさんの言うことなので信憑性は定かではない」といった注釈をつけていることが多いので、「松沢は慎重だな」とかえって評価を高めそうです。

メッセージの相手とその情報について検討を始め、やがては関係者に話を聞く裏取り作業に入ってガセだったと判明したスリリングな読物もあります。暴露する場合はその経緯と結末も必ず公開して欲しい。

こんな状態なので、自分のメッセージが漏れる心配よりも、他人のメッセージが漏れる楽しみが先行します。

Amazonで買える赤狼煙。1080円也。赤い煙が出るので、タバコの煙やバーベキューの煙と区別できます。

 

 

これからは狼煙

 

vivanon_sentence現実問題、メッセージの内容が漏洩して、それを入手した人がことさら私のメッセージに注目するとは思いにくい。利用できず、脅しようもなく、面白くもない。

 

 

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