Twitterの問題点—インターネットより狼煙の時代[2](松沢呉一)-2,616文字-
「Facebookの問題点—インターネットより狼煙の時代[1]」の続きです。
Twitter依存の人々
前回見たFacebookの情報漏洩問題で私が責任を感じることがあるとしたら、私と連絡をとるために、あるいは私が作ったグループに参加するためにFacebookにわざわざ登録した人たちや、「Twitterはやめた方がいい」とアドバイスしたためにFacebookに移動した人たちの情報が漏れることです。
それによって会社をクビになる、一家離散に追い込まれる、三億円強奪事件の共犯だとバレるなんてことがあると、私は謝罪しなければならないでしょう、狼煙で。一回目は長い煙、二回目は短い煙、三回目がまた長い時は「ごめん」の意味です。
これまでに私が「Twitterはやめた方がいい」とアドバイスした人は何人もいます。問題なく使えている人はもちろんそのままでいいとして、Twitterに依存して離れられなくなり、中身を精査することなく瞬時に反応し、ツイートやRTが膨れ上がり、クラスター内で薄い情報、薄い見方を増幅していく人たちにはそうアドバイスするようにしています。
世界に開かれているはずなのに、使い方次第でTwitterは世界を狭くし、「私」という基準さえ失う。見えるのはその世界だけになっているので、おかしさに気づけない。気づくためにもひとたび離れた方がいい。
三年前のものですが、ストロマエ(Stromae) 「carmen」のようなことになる前に自分がどこにいるのか見極めましょう(埋め込みができないようなので、YouTubeに飛んでください)。
あの鳥は悪いやっちゃな。
ふだんだったら、こういう表現を見ると、「問題なく使えている人もいっぱいいるのに、いかにも悪者として描くのはどうなんか」と思うところですが、相当にまずい状態にまで至っているのが周りにもいることや、自覚できないまま依存を進行させている人たちを見ると、こういうわかりやすい表現も必要なのかもしれないと思います。
なぜトランプはTwitterか
世界的にはFacebookの方がはるかに利用者が多い。月間アクティブ・ユーザー比較で7対1です。にもかかわらず、なぜドナルド・トランプはTwitterをメインに使うのか。
Facebookにもアカウントはありますが、投稿数はTwitterの数分の一です。力点がTwitterにあるのと同時に質も違って、Facebookは記事や動画のシェアがメインです。Facebookは広報的、Twitterは個人的といった印象の使い分けです。
「トランプはSNSを効果的に使用した」「多くのウソを垂れ流した」と指摘される時も、Facebookの投稿ではなく、Twitterのツイートが挙げられています。ただ単に「トランプはTwitterが好き」といった話ではあり得ないでしょう。内容がなくても主張が拡散しやすい、あるいはデマであっても拡散しやすいSNSを計算の上で選択している(トランプに限らず、Twitterを選ぶ政治家は少なくないのだけれど)。
また、上のストロマエはベルギーのミュージシャンですから、対象とするエリアではFacebook利用者の方がずっと多いだろうに、なぜTwitterなのか。
あのMVはトランプが大統領に就任する直前で、トランプのことを踏まえている可能性は薄い。鳥のキャラが使いやすいだけかもしれないけれど、おそらく他のSNSに比して依存性が高いことが認識されているからだろうと推測します。
(残り 1377文字/全文: 2900文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ