松沢呉一のビバノン・ライフ

TwitterとFacebookではセックスの仕方が違う—インターネットより狼煙の時代[4](松沢呉一)-2,497文字-

リンク先を確認して「いいね!」をクリックする人と確認しない人—インターネットより狼煙の時代[3]」の続きです。

 

 

 

実名原則がもたらす信用

 

vivanon_sentence前回グラフを出した「SNS投稿のリンク先、確認してる?Twitter・Facebookユーザーに調査!」ではっきりわかるのは、TwitterとFacebookでは使い方が違うってことです。使い方の違いをもたらしているのは、ルールの違いです。

Facebookでは実名原則のために、アカウントと生身の人の紐付けが強く、自身の写真を出すのが一応のルールであり、さまざまな情報を正確に出すのもルールなので、知らない人でも生身の人物を相当までイメージできます。ネット上にだけ存在する人格という印象ではないのです。

その上、面識のある人たちと「友達」になっている率がFacebookは高い。私自身、「友達」の条件は原則として面識があることです。面識のない人もいますけど、最初の頃に御祝儀で承認した人たちと、その人の活動をある程度知っていたり、投稿している内容に関心を抱けた人たちです。逆に面識があっても、よくは知らない人、投稿している内容に関心がない人たちは承認しません。

そこに限定することによって、タイムラインにノイズを増やさず、書いていることが理解しやすくなるためです。同じことを書いていても、知っている人だと、「これはこういう意図だな」と読み取れるのに対して、そうじゃないと誤読をしやすい。Twitterよりも文字数を使えると言っても、文字数を使う人たちばかりではないわけですから、情報がないとどうしても誤読が生じます。

知っているがゆえに「おまえがこれを書くか」と腹が立ってスルーできなくなることもありますけど、その場合は腹を立てて文句を言っていいのです。生身の人間にも腹を立てて文句を言うことがあるのと一緒。

情報の精度、信頼性を高めるためにはFacebookの方がいい。人の信頼度がそれを担保するところがあって、そのためにリンク先をクリックせずにアクションしてしまう人が多くなるのが皮肉ですが、デマが出にくく、情報が拡散しにくい構造がまずあるわけですから、そうしたところでデマが拡散しにくいということになっています。それにしても、リンク先を読んでからアクションしろよと思いますけどね。

※前回取り上げた調査は「MarkeZine」という雑誌によるもので、聞いたことのない雑誌だったのですが、翔泳社の雑誌です。私の単行本を二冊出している版元です。

 

 

面識があるために金玉を語らない

 

vivanon_sentenceFacebookは面識のある人、面識がなくても実在すると意識できる人で「友達」が形成されています。だから義理が生じる。義理を果たすため、挨拶として「いいね!」をクリックをし、「シェアさせてください」なんて気持ちの悪い挨拶も交わされる。あれはFacebook利用者の年齢層の高さも関係しているでしょうけど、生身の人で構成されていることがFacebook利用者の行動を規定しています。

気づいていた方もいるかもしれませんが、このところ、銭湯の話とSNSの話を交互に出しているのは、共通点があるためです。人間関係の作られ方において通底するものがあるのです。もちろん、違いもいっぱいありますが。

 

 

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