松沢呉一のビバノン・ライフ

壁を軽快に乗り越える中川えりな—狼煙派の決起[下](松沢呉一)-2,343文字-

つながりの速度よりつながりの強度—狼煙派の決起[上]」の続きであるとともに、「心のナチスも心の大日本帝国も抑えろ」シリーズの続きでもあります。

 

 

 

魅惑のペルー料理

 

vivanon_sentence先々月、チンコのある女とマンコのある男たちとでペルー料理を食べに行きました。東京レインポープライドの山縣さんがペルーに行ってきて、ペルー料理がえらくおいしかったと言うので、日本でも食べられる店を検索したら、都内に数軒ありまして、そのひとつが大久保のワンチャコでした。

私は、ペルー料理を含めた南米料理に馴染みがなく、「豆料理と芋料理か」なんて思っていたのですが、もっともっと多彩です。肉料理も魚料理もパスタも米料理も。

ペルーではもっと食材が豊富だそうで、とくにペルーはイモの種類が多彩。ジャガイモの原産地だけあって、ジャガイモだけで数百種あって、他のイモを合わせると三千種にもなるんですってよ。

そっか、だからジャガイモの品種名には「インカ」がつくのか。ペルー料理店に行って初めてジャガイモの原産地がペルーだって知ったぜ。

 

 

この曲、メチャ好き。

ペルーでは料理によってイモを使い分けるのですが、その一部しか日本では手に入らないので、現地のままの再現は無理で、日本で入手できるイモで代用。天竺鼠(モルモット)料理のクイも食用としては輸入されていないので、ペット用のモルモットを自宅で殺して食べるしかないとのことで、実際にペットのモルモットを食べたという話もあるらしい。本当かどうかはわからないですけど。

ジャイアントコーンは乾燥した硬いのしか食べたことがなかったのですが、茹でただけのジャイアントコーンはあっさりした甘みがおいしい。これを食べられただけでも幸せ。

※「ワンチャコ」の看板。これは酒場ヴァージョンで、レストラン・ヴァージョンの看板はまた別にあります。別の店ではなく、時間帯で分けているのでもなく、一緒の店です。

 

 

ペルー料理の秘訣・中川えりなの秘訣

 

vivanon_sentence世界五大料理のひとつと言われ、世界的に人気が高まっているペルー料理の特徴は、移民で成り立っている国の歴史を反映して、各地の料理をごちゃまぜにして、独自のものに発展させているところです。「これのルーツはあれだな」とわかるものもあるのですが、味付けは違って、「どっかで知ってるけど、この味はなんだっけ」と、味覚のデジャブにしばしばとらわれます。

中川えりなの母親は日系移民の三世のため、家でもペルー料理を食べ慣れていて、ペルー現地でも食べているのですが、彼女もすっかりこの店が気に入って、あのあとまた食べに行ったそうです。行った人全員が気に入りました。

母親は日系であっても母語はスペイン語であり、中川えりなもスペイン語が話せるので、店の人ともスペイン語で話してすっかり仲良くなってます。

この辺のノマドな環境が彼女の行動と思考に影響を与えてそうです。いろんなものを積極的に吸収しつつ、どこかに押し込められることをすごく嫌う。とわかりやすく解釈するのも嫌いそうだけど。

※ペルーのブイヤベース

 

 

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