写真を撮る時のVサインはアジアの「常套句」—群衆心理に打ち勝つ方法[付録1](松沢呉一)-2,389文字-
「群衆心理に打ち勝つ方法」の付録編です。
アジア人のVサイン
初期の写真は露光時間が必要だったため、表情を残しにくく、どこの国でも仏頂面にならざを得なかったのが、やがては自然な表情をつけるようになっていきます。しかし、日本ではこれが遅れたことは今までにも書いてきた通りです。
明治時代に日本に来た人たちは日本人が無表情なのでなく、曖昧な笑みを浮かべることに気づいたわけですが、ある時期以降に写真を見た人は自国の写真と比較して日本人は無表情だと感じただろうと思います。しかし、曖昧な笑みや無表情は絵にする場合にステレオタイプな象徴にはなりにくい。
今現在のスナップ写真で言えば、日本人の特徴は表情ではなく、ポーズでしょう。
以下の記事が面白い(英文)。
そうなんすよ、写真を撮る時にVサインを出すのは日本だけかと思っていたんですけど、他の国でも見かけます。
以下はAsia’s Got Talent!のSacred Riana。
キャラ作りを含めて、面白いですけど、これは局側も協力して仕込みをやっているとしか思えないのよね。他の題目でも仕込みが必要なものがあるので、別にいいのか。
マジックのことはどうでもいいとして、審査員のAnggunが写真を撮られる時にVサインをしています。彼女はインドネシアとフランスが拠点の歌手です。おそらくこれはインドネシア流でしょう。
写真を撮る時のポーズはステレオタイプとはちょっと違いますが、自身を表現する常套句みたいなものでもあります。
この記事によると、起源は日本にあって、始まりは札幌冬期オリンピック(1972年)におけるジャネットリンであり、また、コニカの広告(1971年から72年のよう)で井上順がやったことで定着したのだと。そうかなあ。
おそらく始まりは「サインはV」
ジャネット・リンじゃなく、コニカでもなく、「サインはV!」(漫画は1968年から、テレビドラマ化はその翌年)が始まりじゃなかろうか。下の図版は単行本の表紙をアレンジしたEBOOK版ですが、表紙からこれです。
しかし、原作は少女漫画ですから、ここから広まったというより、テレビドラマの「サインはV」が大きかったのだろうと思います。小学生の私も観てました。
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