松沢呉一のビバノン・ライフ

新しい生活をスタートさせるきっかけ作りに協力したかも—エロい人助け(4)(最終回)[ビバノン循環湯 500] (松沢呉一)

「七年ぶりのマグロ・オーガズム—エロい人助け(3)」の続きです。

 

 

 

まじっ!

 

vivanon_sentence彼女は、それ以降もメールを送り続けてきて、「指名が増えてきましたよ」「先月は指名4位になりました」「また会ってください」などと書いている。事実、私は忙しかったこともあって、「今は忙しいから当面は行けない」と書き、メールの返事さえ出したり出さなかったりで、このままメールを送ってこなくなってもかまうまいと思っていた。

七年振りにイカせる手伝いをしたのだから、役目は果たしている。この上何を求めるというのか。そんな気分であった。

一ヶ月ほど彼女からのメールはなく、やっと諦めたかと思ったのだが、「そろそろ時間はできましたか」とのメールがあった。人として嫌いなのではなくて、単にスケベをしてもつまらないってことに過ぎず、暇ができたことでもあるし、ここまで熱心にメールをしてくれているのだから、また会いに行くかと思って、「今週行くよ」とメールを出した。

その返事が以下。

「まじっ! いつ来れそうですか? その日出ます」

彼女は週に二日くらいしか出なくなっていたのだが、私のために出勤してもいいというのである。その上、「まじっ!」という一言に気持ちがこもっていて、いじらしい。彼女も「もうこの人は来てくれないんだろうな。私のことを好きじゃないんだろうな」と薄々気づいていたところにメールが来たので、素直な気持ちが出たのだろう。

今まではなにをしても距離が遠くて、生身の自分をぶつけるような印象がなかったのだが、この「まじっ!」で急に彼女がいとおしくなった。

Miss France 1927 – Mlle Raymonde Allain 1927年のわりに水着が大きい気が。

 

 

最近処女を失った

 

vivanon_sentence次に会った時は、明らかに態度が変わっていた。この店は、フロントから、別のマンションにあるプレイルームまで移動するのだが、エレベーターの中で抱きしめても全然抵抗しない。カメラがあるから、管理人に見られるかもしれないのに。

「なんかずいぶん変わったよね」

「自分でも変わったと思う。だって、私、最近処女を失ったようなものだから」

彼女は私との出会いを本当に喜んでくれていて、今までにないはしゃぎぶりである。イカせてくれたじいちゃんと同様の存在になったみたい。最初からこうだったらもうちょっと違う展開になっていたろう。

「これで、子どもができるかもしれないね」

「いや、それは無理だと思う。この間、久々に主人とセックスしたけど、うちの人は全然男としての勢いがない。勃起もあまりしないし、トロっと出るだけ。あれじゃあ子どもができないし、全然気持ちよくなれない。松沢さんとだったらすぐに妊娠しそう」

せっかく夫婦円満に協力してあげているのに、かえって夫への不満が高まってきているみたいで、これでは逆効果だったかもしれない。

「オレが妊娠させてやろうか」

「血液型はなんですか」

「本気にするなよ」

「今一瞬考えた」

「今はDNAでわかるから、やめとけ」

 

 

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