松沢呉一のビバノン・ライフ

勤務中に仕事をサボって書いた小説の著作権—懲戒の基準[6]-(松沢呉一)

職場のセックスと職場のオナニーの境界線—懲戒の基準[5]」の続きです。

このシリーズは「ネトウヨ春(夏)のBAN祭りからスピンアウトしたものなので、図版がない時は祭りの写真を使っています。

 

 

 

パソコンの私的利用で情報漏洩が発覚

 

vivanon_sentence前回出した実例の続きです。

社内の同じセクション、同じフロアだと2人の様子で察知されることはありましょうけど、取引先の相手とセックスしてようが、恋愛してようが、自分から言わなきゃまずわからないのに、どうしてそのことが会社にばれたかと言うと、会社のパソコンを使って会社のアドレスから相手にメールをしていたのであります。

細かな経緯は覚えていないですが、あのケースでは、どうも相手がこちらの手のうちを読んでいるとしか思えず、社員のメールをチェックしたところ、ラブラブの言葉とともに、情報を漏らしていることが発覚したってことだったと記憶します。

社員にパソコンが支給され始めた時期であり(1990年代前半だったんじゃないかな)、会社内個人アドレスは個人のものという感覚だったのだろうと思われます。

その社員がどうだったのかわからないですが、この頃は個人ではパソコンを持っている人は少なく、携帯も普及しておらず、持っていてもその頃の携帯電話ではメールはできなかったんじゃなかろうか。そのため、メールは会社から送るしかなかった人たちも多かったですから、「アホだなあ」と呆れつつ、同情しないではない。

私自身、この話を聞いた時に、「そっか、会社のパソコンで私用メールを出してはいけないのか」「そっか、会社のアドレスで出したメールは会社側が無断で内容を見てもいいのか」と初めて認識したくらいです。考えればそうだとわかるのですが、考えたことがありませんでした。

ただし。

その頃はまだ裁判もさほど起きていなかったと思いますが、その後も裁判も増えて、今となっては、あっさりこれで納得してはいけなかった部分があります。

 

 

会社から私用メールを出したからと言って即懲戒になるわけではない

 

vivanon_sentenceどこをどう納得してはいけなかったのかというと、会社のパソコンで私用メールを一切出してはいけないとは言い難いって点がひとつ(そのケースでは社内事情を外に漏らしていたことが直接の解雇の理由だったはずなので、これにはひっかかっていないと思われますが)。

 

 

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