職場のセックスと職場のオナニーの境界線—懲戒の基準[5]-(松沢呉一)
「自衛隊員同士が勤務中にセックスしていた事例—懲戒の基準[4]」の続きです。
このシリーズは「ネトウヨ春(夏)のBAN祭り」からスピンアウトしたものなので(スピンアウトしたものからさらにスピンアウトしたものかな)、図版がない時は祭りの写真を使っています。
セックスとオナニーの境界線は明白
前回見た自衛隊員同士のセックスが懲戒処分された事例は大変いい内容でした。どこがいいのかというと、セックスとオナニーの間に境界線があるってところです。
今まで当直の際にオナニーして懲戒処分を受けたことを不服として裁判を起こした例はないと思うし、これからもたぶんないと思うのですが、もし裁判になったら不当という判決が出るんじゃないですかね。つまり、当直中でもオナニーまではしていいのだと。正確には「していい」というより、そこまで会社は介入できないということになりそう。
通常、オナニーをしてもばれようがなく、仮にネットで自衛官であることを明かして、「当直中にオナニーをした」なんてことを自分で書いたら、書いた行為が品位にもとるということで処分される可能性がありますが、本当にオナニーしたかどうかを問わず、書いたこと自体が処分対象でしょう。セックスしてないのに、同僚とセックスをしたと書いただけでも処分されていいのと同じ。
ベッドでオナニーをしてティッシュをゴミ箱に捨てていたのを検査されたとしても、ゴミ箱のティッシュまでチェックする行為自体が不当とされそうです。あるいは非公開の日記に「オナニーした」と書いていたのを調べられてもやっぱり不当。いかに自衛官と言えども、また、職務中と言えども、プライバシーってもんが認められましょう。オナニーはその範囲。セックスはその範囲を超えます。
仮にオナニーが懲戒処分の対象になると、困ることになります。海上自衛隊だと、何日間も船から降りられないこともあります。調べるのが面倒なので適当に書きますが、その間はすべて職務中という解釈になりましょう。若い隊員の艦砲が暴発します。
会社の情報を彼氏に流して解雇された社員
何事にも境界というのがあって、セックスとオナニーは境界がわかりやすいですけど、もっとわかりにくいものがあります。
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