新宿二丁目の変質—女の客も相手にするノンケの売り専ボーイたちに聞く[上]-[ビバノン循環湯 526](松沢呉一)

2019年03月30日 19時36分　
カテゴリ：インタビュー • ゲイ • ビバノン循環湯 • 写真 • 売り専 • 新宿二丁目

これは「ナックルズ」に書いたものだったと思います。沢尻エリカの件を検索すると、2007年のことのようなので、この原稿も同年のものでしょう。それから十年以上経ってますが、売り専の女性客はさほど増えてないだろうと思います。出張ホストというジャンルがそれなりには定着して、たぶんそちらに客は流れているでしょう。

図版は古い男のヌードです。男の古いヌード写真も多数ネットには出ているのですが、チンすけが出ているものが多いので、使いにくい。消すのが面倒な上に消しは美しくない。猥褻です。もともと出しているものを消すのは申し訳ないということもあります。著作権的にも同一性保持権の侵害です(やむを得ない事情ってことで認められるのでしょうけど)。ホントに腹立つ日本の刑法175条とドイツの刑法175条。ドイツはもうないけど。

女のヌードの多くは公開前提で撮られているので、ほとんどは性器や陰毛まで出してないのですが、男のヌードは非公開のものが多いかと思います。エルンスト・レームが欲しがったような用途の写真です。どうせ非公開のものだとすっとチンすけが出ていた方が好まれましょう。

検索していて見つけたこのサイトがいい写真を多数公開していますので、すべてここから借りました。着色しています。

芸能人とゲイバーの関係

沢尻エリカのご乱行で、俄然新宿二丁目に注目が集まっている。そもそもなぜ人気絶頂のタレントがゲイタウンに行くのか?　彼女はレズビアンなのか?

実のところ、新宿二丁目は古くから「芸能人タウン」でもある。よく知られるところでは、女優のかたせ梨乃。売り専バーで若い男の子たちをはべらせて飲むのが好きらしい。

美川憲一が二丁目の常連であることまではなんの違和感もないが、その関係で、先頃結婚した神田うのも時々二丁目に遊びに来ているらしい。

山田邦子も古くからの二丁目タレントとして知られるし、小泉今日子、宇多田ヒカルらもその姿を目撃されており、浜崎あゆみは写真誌で報道されたこともある。

二丁目のクラブでは、ドラァグクィーンたちが好きな歌手の歌でパフォーマンスする「〜ナイト」というイベントがよく開かれているが、昨年は「ユーミンナイト」に松任谷由美自身が客できたことが話題になった。彼女も二丁目タレントの一人だ。予告なく来場したために、出演者たちは緊張の極みだったらしいが、本人の前でパフォーマンスができたら幸福の絶頂でもあったろう。

今年は「安室ナイト」で安室奈美恵自身が飛び込みで歌を披露したことが話題に。

ここまで出てきたタレントには女性が多い。二丁目が好きな男性タレントも多数いるが、たいていゲイなので、今も名前を出しにくい。対して女性タレントはレズビアンではないので、名前を出しやすい(レズビアンのタレントもいるが、そちらは名前は出せない)。なのになぜ彼女たちは二丁目に出入りするのか。彼女らにとってはハメをはずせる場所なのだ。

渋谷や歌舞伎町を歩いていたら、ガキがキャーキャーと騒ぎ、携帯で写真を撮られるのは必至。対して夜の二丁目はガキがいない街であり、そっとしておいてくれる。

しかし、新宿二丁目は、昔と違ってオープンになった分、そこに出入りする人たちや店の人たちも口が軽くなって、飲み屋で荒れたとなれば、すぐにスポーツ新聞に出てしまう。新宿二丁目に出入りしていることを芸能人たちが隠さない時代になったがために、二丁目は芸能人にとって、また、もともとの二丁目の住民たちにとっては居心地のいい街ではなくなりつつあるのかもしれない。