人が集まるブース・集まらないブース—TOKYOレインボープライド2019[中]-(松沢呉一)
「自由学園に感激しました—TOKYOレインボー・プライド2019[上]」の続きです。
流行るブースの条件
前回いくつか例を挙げましたが、人が集まっているブースには、傾向なり法則なりがあることが見えてきます。どこのイベントでも共通する人気の要素があるのと同時に、レインボープライドに特有の法則もあります。以降、広告代理店の視点みたいでいやらしい話が続きます。
こんなところでベッドやテーブルを売っても買う人がいないので、IKEAは飲食の販売をしてました。これはありです。とくにこの場に適した販売物がなく、予算の出ない企業は飲食ブースを出して、出店費用を捻出すればいい。
専門外の商売ですから、赤字になるかもしれないけれど、飲食は利益率が高い上に、なんのかんの言って、例年もっとも長い列ができるのは飲食のブースです。
中でもスターバックスは長蛇の列で、40分待ちと言ってました。
誰しも腹が減って咽喉が乾くので、飲食は来ている人のほとんどに通じる訴求力があります。
人気の要素
人が集まっているブースは、飲食を筆頭に「今必要なものを売っている店」です。明日必要なものは明日買えばいい。
暑いですからタオルが欲しくなる。着替え用のTシャツが欲しくなる。パレードに着るためのTシャツも欲しい。いろんなもんを配布しているので、トートバッグみたいものも欲しい。これも広い層に訴求します。
リーバイスの夏っぽいバッグが人気でした。
こういうイベントではテーマに合致していても、本の類いはあんまり売れないとされています。とくにパレードの前はかさばるもの、重いものは避けます。家具は買わない。本もたった今必要ではないですから、面白そうと思っても、「本屋で買おう」になってしまいます。一般の書店では買えないものであっても、本をチェックする発想自体がないため、フライヤーを渡すくらいが関の山です。
パレードまでの時間潰しで読むものは無料配布されるフライヤーやパンフで十分です。もうちょっと楽しい暇つぶしがあればよりよい。なんか遊べるものが欲しい。シールを張るとか、メッセージを書くとか、ゲームをするとか、アンケートに答えるとか。それを人とふれあいながらやるのが楽しい。
ここまではどこの催事でも共通するとして、あの場を支配する独特の心理があります。自分のことを考えると気づきます。
(残り 2573文字/全文: 3649文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ