松沢呉一のビバノン・ライフ

遅ればせながら銭湯とパクリ職人の話-[銭湯百景 4]-(松沢呉一)

浅草・蛇骨湯閉店の衝撃-[銭湯百景 3]」の続きですが、「東洋英和女学院と創価大学の処分の違い—懲戒の基準[18]」「不正な著作物の責任が及ぶ範囲—懲戒の基準[19]」「東洋英和女学院と岩波書店の対比—懲戒の基準[20]」「末次由紀に対する講談社の姿勢が手本—懲戒の基準[21]」も参照のこと。

 

 

 

銭湯のペンキ職人に弟子入りした芸大院生

 

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先日、蛇骨湯閉店情報以外に、新潮社の岑(みね)さんに教えてもらった銭湯がらみの話があります。こっちは蛇骨湯のようなショックはなくて、「ああ、やっぱり」って感じです。

数年前から、東京芸大の大学院生が銭湯のペンキ絵師に弟子入りしたという話題を見かけてました。世の中のことにまるで興味がなくなっていて、さくらももこが亡くなったことを最近まで知らなかった私でも知っていたくらいですから、あちこちにこの話題は出ていたのだろうと思います。一回読んだだけで、あとは見かけても素通りでしたが。

 

 

毎日新聞は「銭湯百景」でも彼女を取り上げてます。私が一回だけ最後まで読んだ記事はこちらです。

 

2018年6月30日付「毎日新聞

 

 

全国紙が二度にわたって大きく取り上げる話題。他に朝日新聞、読売新聞、産經新聞も取り上げてます。

この「銭湯百景」を読んだ時にリンクして、Facebookにこう書きました

 

 

今から銭湯絵師になろうとするのは相当の変わり者。

銭湯自体が着々と減っている上に、リニューアルになる銭湯のほとんどはペンキ絵をやめてタイル絵など描き替えのいらない絵にするか、絵のない壁にする。

その上、古い銭湯でも描き換えるペースが落ちて、四年も五年もそのまま。前に書いたように、https://www7.targma.jp/vivanonlife/2017/09/post37408/ 古くなったペンキ絵ははげてきたり、カビが生えてきたりで汚いため、ペンキ一色で塗りつぶしている銭湯もあります。

それもこれも金がないため、つまり客が来ないためです。こういうものを保存したいと思う人は休みの日だけでも銭湯へ。

さて、今日は葛飾区の銭湯に行くかな。

 

私の興味のなさがそこはかとなく伝わってましょう。「へー、こういう人もいるんだ、まあ、頑張ってくださいよ」といったところです。今回、「ビバノン」で「銭湯百景」というシリーズタイトルを数年ぶりに復活させたのは、毎日新聞のシリーズタイトルに対する当てつけです。さて、どちらが現実の銭湯を見据えているのか。

 

 

彗星の如く現れて消えたパクリ職人の話題を知らずにいた

 

vivanon_sentenceその後はとくに興味を抱くこともなかったのですが、この人物がパクリの常習犯だったことが発覚して、話は次のステージに。

世間の話題から隔絶した生活なので、これ以降の展開についてはまったく知らずにいて、新潮社の岑さんがパソコンで関連記事を見せてくれて、まとめてその躊躇なきパクリアートの全貌を楽しませていただきました。

パクリ界に佐野研二郎以来の大物登場」の感があります。東洋英和女学院長によるパクリと捏造も大物ですけど、あれはスコーンと抜け切った爽快さがない。また、ドイツ語ができて、神学やヴァイマル時代に理解がないと検証もできず、検証サイトもできていないようです。大衆的な娯楽性に欠けるのです。

その点、勝海麻衣さんはただただピュアなパクリ衝動が向くままにやり切っていてわかりやすい上に、パクった作品とともにドヤ顔をするのも作品鑑賞に付随した魅力になってます。同じことなら、話題になっている時にリアルタイムに楽しみたかったものです。

皆さん、もう知っていることでしょうし、いまさら彼女を批判したいわけではないので、ここまでの経緯は他におまかせ。

 

naverより

 

 

BEANSより

※Tシャツは、第三者が本人(勝海氏)の許可をとった上で制作したもので、販売用ではないようです。販売してないからいいとはならないですけど、これによるオリジナル著作権者の経済的損害はほぼないでしょう。

 

 

Togetterより

 

 

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