松沢呉一のビバノン・ライフ

そうは見えないかもしれないれど、全裸自転車はプロテスト—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 3]-(松沢呉一)

エロいボディペインティテングとエロくないボディペインティテングを決定する条件—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 2]」の続きです。

 

 

 

全裸自転車行動の始まり

 

vivanon_sentence

公共の場で開催されているキンタマもスジも丸見えのイベント—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 1]」にWNBR(ワールド・ネイキッド・バイク・ライド)が出てきたので、もう少し詳しく説明しておきます。

ロンドンのWNBRを撮ったドキュメンタリーを観るとだいたいわかります。

 

 

 

 

途中から、大気汚染、地球温暖化の映像が出てきます。WNBRはそういうメッセージの行動です。車のためにどれだけの人が死んでいるのかと。

排ガスの大気汚染による死者数を正確に算定するのは難しいですけど、交通事故だけで年間世界で135万人が亡くなっています。

 

2018年12月7日付「AFPBBNEWS」より

 

アウシュヴィッツ強制収容所は期間が長いですが、アウシュヴィッツの死者数と同じくらい。虐殺施設の巨大複合体とは言え、アウシュヴィッツだけでそんだけ殺したことに改めて驚きますが、交通事故は「5~29歳の子ども・若者世代の死因第1位」とあって、活動が活発な世代が犠牲になっているのが特徴であり、こちらはこちらで十分問題。

これに環境汚染も加わって、もっと長期で深刻な問題を引き起こしています。

自動車は人を含めた輸送という重要な役割を果たしているので、全部はなくせないとしても、「自転車で済む部分は自転車で済まそうぜ」というのが全裸自転車のメッセージです。

 

 

全裸自転車は反戦・エコの抗議活動

 

vivanon_sentenceこのドキュメンタリーでは2004年にカナダで始まったとありますが、その前に2001年にスペインで始まったとしてあるものもあります。全裸で自転車に乗ることも、裸で抗議することも、もっともっと遡れますが、明確なメッセージとともに公道で全裸自転車行動が行なわれるようになったのはこの辺から。

2004年の呼びかけは、その前からイラク反戦行動をしていたアーティスト集団によるもので、ただの反戦ではなく、石油の浪費をやめようというメッセージが込められていて、だから自転車であり、だから石油製品の服も着ない。無駄なものはいらない。

ここにナチュリストやナチュラリストらも合流(注)。時折、大麻推奨のフラッグやボディペインティングも見ます。麻の活用で石油製品の使用は抑えられるので、理に適っています。

ただ「楽しい」「面白い」という人たちの参加も当然あるでしょうけど、WNBRに呼応して世界各国で主催している人たちに関しては、自動車社会と石油浪費への警鐘という意味合いを共有しているようです。

表現の自由のもっとも重要な側面ですから、抵抗運動・抗議行動の側面がはっきりしていた方が警察は手出ししにくく、WNBRは「public protest」であるとの主張がしばしばなされています。

このドキュメンタリーでも警察との小競り合いが映し出されていて、米国で過去に数回は逮捕者が出ていますが、世界でのべ数百回行なわれているうちの数回ですから、全然たいしたことはない。

Wikipediaより、米オークランドでの逮捕に対する抗議行動。これも全裸っぽい。全裸抗議の歴史は一世紀遡る文化であり、シャレでやっているわけではありません。

注:ナチュリズム(ネイチュリズム)とナチュラリズムは別ワードです。前者はnaturism、後者はnaturalism。「裸体運動(ヌーディズム・ナチュリズム)と陰毛の関係-毛から世界を見る 13」を参照のこと。

 

確認できた全裸自転車実施国は25カ国

 

vivanon_sentenceでは、今までどのくらいの国で裸自転車をやっているのか。

WNBRのwikiには35カ国リストアップされてますが、日本も入っています。日本でやろうとした人がいて、ここに書き込んだはいいものの、実現しなかったようです。裸の点でも道路使用許可の点でも難しかったのではなかろうか。

他にリストに入っているボルトガル、ロシア、ラトビア、ハンガリー、チリ、アルゼンチンもやった記録が見つかりませんでした。

 

 

next_vivanon

(残り 1729文字/全文: 3593文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック