松沢呉一のビバノン・ライフ

表現を封じられると意識や行動も封じられる—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 4]-(松沢呉一)

そうは見えないかもしれないれど、全裸自転車はプロテスト—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 3]」の続きです。

 

 

 

表現は社会を変革する

 

vivanon_sentence日本で性表現を規制したがる人たちが手本にする欧米では、裸が街に溢れているってことがおわかりになりましたでしょうか。猥褻ではないと認識されるいくつかの文脈では、公共の場で、乳首はもちろん、陰毛や性器が見えていてもいい。それを子どもが見たっていいのです。

前回確認した欧米+αの国では、全裸になっていいイベントじゃなくても、ナチュリストたちはことあるごとに全裸になる。あるいはナチュリストとの自覚のない人たちも公園や海岸で全裸になって日光浴をしている。公道を歩いていると、横を全裸で自転車に乗った人たちが駆け抜けていき、全裸にボディペイントした人たちが闊歩する。

ボディペインティング、ナチュリズム、WNBR(ワールド・ネイキッド・バイク・ライド)といったムーブメントに参加する人たちの数はそう多くはない。一カ所に集まるのは最大で数万人。十分多いですが、国民全体からするとほんの一部。

しかし、路上で行なわれる大規模なWNBRでは、数十万から百万人といった単位の人が目にしましょう。

日本でプライドパレードに参加する人の数は最大1万台でも、継続することで社会に影響を与えていったように、それらの国々では、裸のムーブメントはすでに社会全体に定着していると言っていい。

路上の表現は社会を変革します。

※FacebookよりWNBR Londonのページ。乳首を見えなくし、全裸であることもわからなくして、BANされない工夫が見られます。Facebookでは抗議の裸はいいはずですが、ガイドラインと無関係と削除してきますし、裸はすべて猥褻だと信じている日本人も見ますから。ホントにすいません。

 

 

報道の役割

 

vivanon_sentenceそれらの国では、必ずしも性器まで見せているわけではないながら、報道もされますから、現場を見た人の数十倍、数百倍といった単位で伝わります。前回見たドキュメンタリーは英チャンネル4で放送されたようです。あれは性器も出てましたから、深夜の時間帯かもしれないですが、それでも数十万という人が視聴したかと思います。

とくに各地域のメディアが例年報じています。

 

 

2019年7月17日付ST. LOUIS POST

Looking back: Celebrating a dozen years of the World Naked Bike Ride in St. Louis

 

これは本年7月20日に、セントルイスで開かれる12回目のWNBRの告知をかねて、2008年以降を振り返った記事です。全裸の人たちがいることはわかりつつ、性器や女の乳首が見えない写真を選択しているところに工夫が見られます。

もひとつ。

 

2019年6月22日付EssexLive

The Naked Bike Ride 2019 in pictures

 

英エセックスのメディアが地元で開かれたWNBRを当日写真で報じたもの。男女とも乳首は見えてますが、性器と尻は隠しています。それでも全裸であることはわかります。

このようにテレビや新聞でも報じられる環境にいれば、深く考えることなく、「あの全裸は抗議の裸だから猥褻ではない」「あの裸はナチュリストたちの全裸だから猥褻ではない」と判断ができる。狂信的宗教者や狂信的道徳家を除いて。

また、それらの国では、多くの場合、猥褻な裸であっても、閉鎖的な空間で、限定された人しか参加しない場は晒していい。それを表現した立体物や絵画、写真、映像も同じく公開、配布、販売してもいい。それも内面化されている人たちから、「日本ではなぜいまだに性器を消すのか」と聞かれるわけですが、架空の欧米のみが必要な人たちにとってこの疑問はなかったかのごとしです。

 

 

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