松沢呉一のビバノン・ライフ

諦めるところは諦めて変えられるところは変えることを始めたい—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 6]-(松沢呉一)

公共の場での全裸が実現する条件—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 5]」の続きです。

 

 

補足編の結論

 

vivanon_sentence「補足編」はまだ続きますが、ここで「補足編」の結論めいたことを書いておきます。

裸に関しては日本人の多くは判断する能力が欠けています。その裸はどういう文脈が背景にあり、どういう意味を持つのかの判断ができない。

ここが変わらない限り、全裸自転車を筆頭とした抗議のための全裸も、路上で全裸になるアートも、ボディペインティング・デイ型のイベントも日本では無理です。スペンサー・チュニックの撮影はそれらに比べると、実現可能かとは思いますけど、現状では難しい。

どの文脈においても公共の場での全裸が日本では許されず、議論にさえならない。メディアもサポートはしない。つまり、前回見た絶対条件が欠けているのです。

その現実を見た時に、裁判所が「時代とともに猥褻の観念は変化してきているので、全裸だからと言って公然わいせつ罪を適用することはできない」なんて判決を出すことはあり得ない。

「公然わいせつのこれらの部分は諦めましょう」と確認するために始めたのがこの「補足編」です。無駄な要求まで掲げて、前に一歩も進めなくなるより、可能な部分を変えていくのが賢明です。

以降は本編の方で「どこなら改善できるか。どう改善すべきか」を見ていきますが、今回の参院選でちょっと希望が見えたので、そのことを書いておきます。

※党名さえ出さない山口那津男と創価学会を銘打った野原善正との対決は、自分の票は無駄にしないながらも注目してましたが、間違って投票する人はいなかったみたい。山口那津男は、前回(2013年)797,811票から815,445票に伸ばしていますから、野原善正の214,438票はほとんとれいわ票でしょう。創価学会票を狙う作戦は無理。創価学会員が自分の頭で決めて投票する日は来ないですから、あとは投票率を上げるしかない。

 

 

山田太郎・川田龍平・石川大我の当選

 

vivanon_sentence今回の参院選での私の投票は一勝一敗でした。私個人の結果としてはまあまあ。

「よかった」とまでは言えないにせよ、今回の参院選は、そんなに悪い結果ではないのではなかろうか。とくに、表現の自由の観点から見た時には歴然と成果があったでしょう。

その代表格である山田太郎は比例区で521,649票で当選。

 

Yahoo!ニュース「参議院選挙2019」より

 

私はさすがにこのタイミングで自民党には投票できないですけど、自民党の中にこの人がいることには意義がありましょうし、50万票を超える数字を見せたことにも大いに意義があります。

立憲民主党の比例区では、この辺。

 

Yahoo!ニュース「参議院選挙2019」より

 

たまたまの並びで4人になってますが、ここでの注目は川田龍平と石川大我です。

川田龍平も積極的に表現の自由を守ることを宣言しています。

 

 

区議会議員としてできることもさまざまありつつ、同性婚を議論にし、実現していくためには、石川大我は国政の場の方が動きやすいでしょう。

 

 

なによりそこが注目されるのは当然として、彼も表現の自由には敏感です。表現の自由はマイノリティにとっての武器であることを彼はよくわかっています。エロを含めてです。

 

 

「表現の自由戦士」は礼讃の言葉

 

vivanon_sentence反安倍政権を標榜する人たちの中には揶揄として「表現の自由戦士」なる言葉を躊躇なく使える「表現規制戦士」たちがいます。

漫画やアニメにしか興味がない人たちを揶揄したつもりでしょうが、たとえば護憲派が自分とは考え方が違うからと言って「護憲戦士」なる言葉を揶揄として使えるかどうかを考えてみましょう。この言葉を平然と使える人がいればたいてい改憲派です。自分らが支持する考え方を揶揄の言葉で使える人はそうはいない。

つまり、「表現の自由戦士」なる言葉を使える人たちは表現の自由を軽視していることを自認しているから使えるわけで、表現の自由は憲法で定められていることもお忘れのようです。「憲法を守れ」「表現の自由を愚弄するぞ」と言っている人たちを誰が信用するかって話。

今回は「表現の自由戦士」が成果を出した選挙だと言えます。

 

 

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