なぜアジアでは陰毛の手入れが遅れたのか—毛から世界を見る 61-(松沢呉一)
「テアトロ・オフィチーナの陰毛と「Naked Attraction」の陰毛–毛から世界を見る 60」の続きです。「そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?」シリーズからもつながっています。
ヒゲを脱毛した処女
なぜアジア諸国では陰毛の手入れが遅れ続けているのか(体毛を剃るのがデフォルトのイスラム圏は別)について、この辺で結論を出しておくことにしましょう。
それを説明するために、ごく最近のエピソードをひとつ。
3年前に会った若い娘さんがいます。当時は大学生でした。先日、3年振りで会いました。今は会社員です。
「まだ処女です」と彼女は言います。3年前にそんな話をしていたのです。
意外に思いました。
「そうなのか。パッと見の雰囲気がずいぶん変わったので、てっきり彼氏でもできたのかと思ったよ」
「どこが変わったと思いました?」
「ヒゲがなくなったよね」
初めて会った時、鼻の下に産毛が生えていたのです。服のセンスが変わったり、髪型が変わったりするより、ヒゲがなくなったことに私は気づきます。
彼女はそこを指摘されたことに半ば驚きつつ、こう説明してくれました。
「脱毛しました」
「だから、彼氏ができたのかなって思ったんだよ。誰かに言われて脱毛したの?」
「母親に言われました。脱毛しなさいってお金を出してくれました」
学生まではいいとして、社会人になると、母親としても気になるのでしょう。
見ると、腕の毛もなくなってます。
「腕も脱毛しました」
「脇は?」
「お金がかかるので、脇はしませんでした」
よし。何が「よし」か知らんですけど、脇毛は生やしておいていいでしょう。
※Amazonで買える陰毛用のカラーリング剤。陰毛用と銘打っているだけで、髪の毛用と変わらないかも。これはピンク。陰毛をピンクにすると、さすがに銭湯には行きにくい。
ヒゲは女子校出身の証し
半年ほど前に知人に聞いた話。彼の姪っ子が大学に入るために上京。彼女はヒゲが生えていたので、彼の妻が「顔を剃りなさい」と注意したそうな。その姪っ子は女子校出身だそうです。定説通りです。
この時も注意したのは同性。同性の方が気になるし、注意しやすい。
3年前は「ヒゲは女子校出身者の証拠」という話を知らなかったので、今回の再会で改めて聞いてみました。
「高校は女子校?」
「そうです」
やはりそうでした。
彼女は3年前に気づかれていたことがちょっとショックだったようです。
「そんなところまで見ていたんですか」
「見たくなくても見えてしまうよね。女子のヒゲに対してはふたつの感情があって、大事にして欲しいという気持ちもあって、一律に剃った方がいいとは言えないところがあるんだよ。男の視線を意識しない女子校生らしさも失わないで欲しいので、注意することもためらう」
(残り 1792文字/全文: 2988文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ