松沢呉一のビバノン・ライフ

ビジネスチャンスを潰す法と全裸合コンの思い出—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[横道編 10]-(松沢呉一)

クロアチアの全裸リゾートとフランスの全裸島—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[横道編 9]」の続きです。

 

 

 

法がビジネスチャンスを潰している

 

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空気や水がきれいで、自然も豊かなのだけれども、交通の便が悪く、名所旧跡もなく、過疎で悩んでいる村にナチュリスト・キャンプ場を作ればいい。前回見たように、ヨーロッパには多数手本があります。

タイの島あたりにはすでにあったりするかもしれないけれど、アジアにはほとんどないでしょうから、海外からの観光客も呼び込めます。中国の金持ちたちがいっぱい来そうです。

ライブもあって、ミュージシャンも全裸です。

うまくいくかどうかはわからないけれど、最初から法で禁じられているため、そういったアイデアは出すだけ無駄。可能性を潰しています。

ビジネスという点でも法は妨害をしています。あらゆる分野でこれが起きています。

チャンネル4の「Naked Attraction」は人気があるので、欧米+αの国々で番組を買っているケースもありそうです。

日本のアニメは世界に輸出されて、莫大な利益を生んでいますが、たまにバラエティでも輸出されるものがあります。「風雲たけし城」や「SASUKE」がそうです。

そのふたつの番組はそのまま放映されるだけでなく、番組のアイデアが売れて、買った国が自国で製作もしています。

以下はスイスで製作された「SASUKE(Ninja Warriors)」にミロ・モアレが出た時の様子。

 

 

「子どもが観たらどうする」「海外じゃ許されない」ってか。

ずいぶん前にこれを観ていたのですが、こんなところで使えました。おそらく放送は早い時間帯ですから、乳首を消してますが、FREE THE NIPPLEからすると、これもどうなんか。

この逆にアイデアを買って日本版が製作されるものもあります。「クイズ・ミリオネア」は英国初で、日本を含む世界各国で製作されました。

そういう競争の中で、裸番組ジャンルに日本は参入ができない。

ダンスも演劇もアートも写真も全部そうです。それらを生み出す個人も法人も、日本という国全体も損をしています。

エロ中継もそうです。アジア人が好きな人はそれなりにいますから、解禁してしまえばけっこう金を得られるはずです。

それによって金を稼げる可能性を法が潰しています。

 

 

 国民の意識を変えるために

 

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だから法改正すべしってことなのですが、法をそのようなものにしてしまっているのは国民の意識でもあります。

欧米+αの国でも、法律は日本と変わらず、しかし、「猥褻ではない全裸がある」ってことを国民の多くが認識しているから、全裸アートも全裸自転車も公共の場で行なわれている可能性が高いことはすでに指摘した通り

つまり法律が悪い、裁判所が悪い、政府が悪いだけでは済まず、同時に国民が悪いのです。ありもしない脳内海外を持ち出す人たちが今なお大手を振っている状態です。

ナチスドイツに対して、「ヒトラーが悪い」では済まないのと同じ。日本の戦争においても、「軍部が悪い」では済まないのと同じ。

国民の意識を変えないと、欧米+αの国々には追いつけません。

 

 

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