松沢呉一のビバノン・ライフ

インキンと水虫—風俗嬢と客がなりやすい病気(上)-[ビバノン循環湯 536] -(松沢呉一)

2002年、風俗情報誌「ナンバーワンギャル情報」に書いたものと、同じく風俗情報誌「PING」に書いたものを合体させました。図版は著作権切れのものを適当に。

 

 

 

痔の奥様

 

vivanon_sentence裸で接するために、風俗嬢たちの病気には気づきやすく、そのことで会話が始まることがよくある。

奥様風俗嬢のケツの穴をなめようとしたら、「お尻はダメ。私、痔なんです」と言われた。「イヤーン」と言われながらも、「どれどれ」とよく見たのだが、若干形が崩れている程度だ。

「そうやって見てもわからないと思うけど、内部が切れているんです」

四つん這いになったままで彼女は話す。

「アナルセックスのしすぎか」

「違いますよー。したことないですよー」

「ウォシュレットにした方がいいぞ」

「うち、ウォシュレットなんですけど、まだ残っているようなカンジがして、結局、紙で拭きすぎちゃうんですよね」

私は小学校の時からケツが痛くなることがあって、中学、高校時代は、痔のために血をポタポタと垂れ流したこともある。病院には行かなかったが、切れ痔だったのかな。父も痔だったため、血筋なんだろう。痔の血筋ってイヤだな。

大学生になると、出血はあまりなくなったのだが、痛くてウンコができなくなることが時々あった。肛門の一部が腫れたようになっていて、今度はいぼ痔になったみたい。

しかし、痔で苦しんだのは十数年前まで。ウォシュレットにしてからは症状がきれいになくなった。ただし、公衆便所や人のうち、ホテルなどのウォシュレットじゃないトイレでウンコをすると、なかなかケツがきれいにならず、しつこく拭いているうちに切れて血が出ることがある。ウォシュレットのせいでケツの粘膜が弱くなっているのだ。

ということはあるにしても、ウォシュレットは痔の対策としては有効なはずで、彼女のように、そうもケツを拭いていたんじゃウォシュレットにした意味がない。

病気というのは、いろんな理由でなるものですな。

前に、乳腺から水虫の菌が入って病気になることがあるとの話を書いたことがある。その原稿で、ソープやマットヘルスでよくやる、乳首で足をスリスリするテクは気をつけた方がいいと注意を呼びかけたが、乳腺に菌が入るのはそう珍しいことではないみたいで、それによって乳房全体がパンパンに腫れている風俗嬢に会ったことがある。

触れるだけで痛いそうで、左の乳房や乳首は触ったり、なめたりしてはいけないと注意された。

それからしばらくしたらメールがあって、乳輪(というより乳腺だろう)から膿が出てきて、治療のため、しばらく仕事を休むことにしたそうだ。さらに三週間ほどして、完治したとメールがあったのがなにより。

彼女はマットプレイをしていないのだが、仕事上、乳首を晒さなければならないため、風俗嬢は感染機会が多いのかもしれない。客の手、足、性器はきれいに洗い、プレイのあとのケアも怠りなく。

Retro Beauties 着色してます

 

 

インキン・ライター

 

vivanon_sentence昨年の初夏、私はインキンになった。

朝から内股が痒くて、寝ながらボリボリ掻いていた。てっきりあせもだと思っていたんだが、痒さが尋常じゃない。毛ジラミかと思ったが、痒いのは毛の生えているところじゃなく、キンタマの横なんである。

もしインキンだとすると、四半世紀ぶり、いやそれ以上だろう。中学の時は運動部に入っていて、ひどいインキンになったものだ。患部の色が変わって、その範囲がどんどん広がっていく。最後には短パンからハミでかねないくらいその領域が広がっていて、授業中もよくキンタマやその横を掻いていた。懐かしいなあ。って、インキンで青春の思い出に浸らなくても。

それがインキンだというものだと知るまでにも時間がかかり、誰にも相談できなかったのだが、やがて誰かにインキンだと教えてもらい、効能にインキンの文字が書かれていたオヤジの水虫の薬をつけたらあっさり治った。オヤジは痔だけじゃなく水虫にもなっていたのだ。

オヤジが水虫じゃなかったら、あの薬はうちになく、今頃、私は全身がインキンだったに違いない。

水虫はああも治りにくいと言われているのに、どうしてインキンは薬ですぐに治ったのだろう。あっけなく我がインキンを治癒したあの薬がよかったんだろうか。

そんな遠い記憶を甦らせて股間をかくと、かゆさは確かに懐かしのインキンに近いのだが、最近、柔道部に入って人の柔道着を着た記憶もなければ、水泳部やバスケ部にも入っていない。サウナでうっかり人のパンツをはいて帰ったり、拾ったパンツをはいた記憶もない。どこで感染したのか不明だ。

 

 

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