松沢呉一のビバノン・ライフ

経路不明の病気に次々と感染—風俗嬢と客がなりやすい病気(中)-[ビバノン循環湯 537] -(松沢呉一)

インキンと水虫—風俗嬢と客がなりやすい病気(上)」の続きです。

 

 

 

感染経路不明のSTD

 

vivanon_sentence何年も前から知っている風俗嬢からSTDに関する不可解な話を聞いた。

私と知り合った頃、彼女はヘルスで働いていた。その後、彼女は吉原のソープランドへ。知っている従業員がいる有名な店だが、6万だか7万だかの高級店なので、店に客として行ったことはない。

間もなくヘルスに復帰した時に事情を聞いた。

「向こうの方がうんと稼げるのにどうして辞めたの?」

「ソープは生の店だったんだけど、私はコンドームをつけていたんですよ」

彼女はルックスがいいし、当時はまだ21歳だったはずだ。しかも全然業界スレした雰囲気がないコなので、ゴムつきでも人気があったのだ。

「でも、どんどん病気になるんですよ。淋病、クラミジア、コンジローム、トリコモナスを連続でやりました」

フェラは生なので、口内に感染するのはわかるが、全部性器に感染したそうだ。そんなバカな。

女の場合は、感染しても症状がでにくい病気があるため、その前から感染していたのに自覚症状がなく、ソープで検査するようになって発覚したということも考えられようが、最初の検査で全部発覚したのでなく、検査のたびに別の病気になったのだという。

彼女はその当時も今も男と一緒に住んでいる。

「彼氏からじゃないの?」

「それはない」

彼女の話を聞いても、他で遊ぶようなタイプの男ではない。

因みに彼氏は、つきあい始めて3年にも4年にもなるのに、彼女がソープやヘルスで働いていることを一切知らない。世間一般の見方からすると、たしかに彼女は風俗で働きそうにないタイプにも見えるのと、彼氏は家をあけることが多い仕事なので、疑われにくいのである。また、彼女は取材がNGで、顔を隠してネットに出たことがあるだけ。私が出したんだけど。

彼氏のことを知っている友だちにも一切このことを言っていない。ガードすべきことはガードして、あとはいたって大胆に仕事をやっていて、今の店でもよく店泊している。

Nana in technicolor 彼女がいた高級店では喫煙禁止だったはずですし、ヘルスでも客の前では吸わなかったと思いますが、全然気にしない私の前ではスパスパ吸ってました。

 

 

ローションを媒介にして感染か

 

vivanon_sentence話を一通り聞いて、可能性はほぼ絞られた。

「ローションから感染したとしか思えないね」

ヘルスでも素股の際にローションを媒介にして感染することがある。淋病やクラミジアの菌は先走り汁にも含まれていて、これがローションに混じり、粘膜に到達するわけだ。当然、ソープのマットプレイではローションを使用し、この時は生だから、これで感染したとしか思えない。

「でも、ヘルスで素股はいつもやっていたのに、一度も感染したことがないんですよ。ソープで働き始めた途端に次々と。おかしいでしょ。あっちの方がずっと儲かるけど、病気が恐くなって結局ヘルスに戻ってきて、それからは感染してないから、やっぱりソープの問題だと思うんですよ」

風俗で働きそうにない彼女が現に働いているように、遊んでいなさそうな彼氏が他で遊んでいる可能性は十分あるだろうが、彼女がソープで働いていた時期だけいろんな病気をもらってくることは考えにくい。

「気に入ったお客とは生でしていたとか」

「一度もしてない」

「客がこっそりゴムを外していたとか」

「それもない」

「彼氏以外とハメたとか」

「それもない」

仕事と彼氏以外ではセックスをしない主義である。

「控え室でうたた寝している時に、“このコ、若くてかわいいからって、ゴムつきなんて生意気だよね”っておねえさんたちが病気の客の精液をマンコにすり込んでいたんじゃないか」

「それもない。忙しかったから、うたた寝する暇なかったし。うたた寝していてマンコにすり込まれていたら私だって起きますよ」

うーむ、謎である。

vintage photo postcard 1910

 

 

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