松沢呉一のビバノン・ライフ

顔がよければ人格なんて必要ないと断言する顔フェチ—女の顔フェチ[下]-[ビバノン循環湯 543] (松沢呉一)

セックスの相手に内面を求めるか、求めないか—女の顔フェチ[中]」の続きです。「女たちも見た目のいい男が大好き—田中美津インタビューの疑問点 8」も参照のこと。

 

 

 

浮気相手はルックス重視

 

vivanon_sentence夫や彼氏はルックスと関係のない基準で選択する。そこで満足させられないルックスへの欲望は、タレントに求める人たちがいて、ここではルックスが純化される傾向がある。だから、アイドルたちは顔が絶対的な基準になる。

しかし、浮気相手の場合はどうしてもノイズが入る。口が硬いとかチンコが硬いとかも重要になってくる。ガードをする必要があるし、セックスが目的なのだから、そこが純化される。相手を選ぶ余裕がなく、自分も選べるほどのタマではないと自覚していると、「誰でもいいからハメて」ということもあるけれど。

あるいは、「つきあうにしても、きれいな顔だったら、性格は悪くてもいい」なんてことを言うのもいて、日常的につきあう相手の選択でもルックス重視が少なくないものだ。

依存的な関係を男に求めないのが増えてきていることの証拠とも言えて、歓迎すべきなのではないかとも私は思っている。

となれば、ミスコンに反対する女性団体は、ミスコンを中止させるのでなく、ミスターコンを実施することで平等を実現すべきである。大学ではもうやっているところもあるが、性格、人格なんてことは一切考慮に入れず、とことんルックスにこだわったコンテストをやればよいのである。そうすることによって「女が男を選択する」という行為のハードルを下げる。

男たちが女をルックスで選ぶことを抑圧して平等を達成するのは両性の欲望を抑圧することでしかなく、どっちの欲望も満足させることで平等を達成する方が正しい。

抑圧的、道徳的な人々には決して到達できない結論である。

Crown Street Studios. Reginald Gardiner, c. 1918 handsomeで検索して出てきた写真。イギリスの俳優レジナルド・ガーディナー。女受けのよさそうな甘いルックス。着色しました。

 

 

男は顔がすべてと語るイメクラ嬢

 

vivanon_sentenceでは、顔フェチの典型的な例を紹介しておくとする。

滝沢秀子(仮名・23歳)はイメクラ嬢。客が退きそうなので、店名や詳しいプロフィールは伏せておく。

「前々から顔だけで男を好きになっていたんだけど、人並みに内面とか相性も大事とかって思っていたんですよ。でも、半年前に好きになった男がいて、彼のせいで、自分は顔だけが必要だってはっきりわかったんです」

この男には会ったことはないけれど、事情により、どこの誰かは知っていて、写真も見たことがある。ちょっとした有名人なのである。

表向きは「いい人」ということになっているが、彼女に聞く彼の行動は相当にひどい。

「ひどいですよ。本人を知っている人に聞くと、全員そう言います。頭が悪くて、笑いのセンスはサイテー。マザコンで自分勝手。礼儀知らずで常識がない。ついでに思いやりもない。いいところなんて何もないですよ。私が尊敬できるタイプの人の対極にいる」

軽蔑しているってことか。

「顔以外はすべて軽蔑しているし、大嫌いです。敵と言っていいかもしれない(笑)。性格も合わなくて、一緒にいても全然会話が弾まないから、二人でいると気まずい。一時間いるだけで十時間くらいいた気がして、そのあとドッと疲れる。でも、一緒にいれば顔を見られるじゃないですか(笑)」

こんな男を好きになったがために、彼女は人を好きになる基準が顔だと気づいた。顔だけなのだと。

 

 

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