松沢呉一のビバノン・ライフ

データで確認するインターネット支配と既存メディアの凋落—メディアをめぐる不可解な現実[10]-(松沢呉一)

社会問題に対するアプローチも変わった—メディアをめぐる不可解な現実[9]」の続きです。

 

 

 

16歳から19歳で新聞を毎日読むのは3%

 

vivanon_sentenceここまで書いてきた「深さが招く浅さ」があらゆるジャンルで起きているのですが、実際にはさらに複雑なことが進行しています。

まずは以下のグラフを見てください。

 

 

NHK放送文化研究所世論調査部「情報過多時代の人々のメディア選択」より

 

 

テレビまとめ」はテレビの「リアルタイムでの利用」「録画して利用」「インターネットで利用」をまとめた数字。以下、「テレビ」とします。

年齢によって大きく数字が変化しています。

毎日テレビを利用する人は、男60代では70%、男20代では32%、女60代では76%、女20代では48%。20代の男では、3分の1を切り、20代の女では半分を切ってます。

左端の16歳〜19歳は、サンプル数が少ないため、男女を合わせたもので、これも4割強。20代よりも数字が多いのは家族と観ることが多いためでしょう。

その結果、高校生でも、学校で「昨日、あの番組観た?」という会話が成立しにくくなっています。そんな会話をしたのは私の世代でも中学くらいまでだったようにも思いますが。

毎日、新聞を利用する人は男60代では66%、男20代では12%、女60代では65%、女20代では7%。16歳〜19歳はわずか3%。電子版を含めてです。クラスに一人しかいない。

私が新聞を読むようになったのは中学からだと記憶していて、高校の頃は新聞を読んでいるのがそれなりにはいたはずです。当時の数字まではわからないので、この数字の評価も慎重さが必要ですが、大学生を含めての数字ですから、3%はさすがに少ないと言っていいでしょう。

その分、インターネット利用が急増。

以下も同調査より。

 

 

 

 

「SNSまとめ」は各種SNSをまとめた数字です。以下、「SNS」とします。

毎日SNSを利用する人は、男60代では20%、男20代では76%、女60代では29%、女20代では92%。

毎日動画共有・配信サービスを利用する人は男60代では7%、男20代では54%、女60代では4%、女20代では40%。

毎日それ以外のインターネットを利用する人は男60代では21%、男20代では52%、女60代では18%、女20代では52%。

当然、これに伴ってインターネットに費やす時間も長くなっています。

 

 

インターネットに浸食される既存メディア

 

vivanon_sentence情報過多時代の人々のメディア選択」にはメディアごとに費やす時間の項目がないのですが、博報堂の「メディア定点調査」2019年版にメディアごとの利用時間の数字が出ています。

 

 

 

 

既存メディアがインターネットに浸食されていることがはっきり数字に出ています。「書籍」なんてすでに選択肢にさえない。

まったく読書しないわけはなく、この調査では入れてないだけで、他の調査では以下のようになっています。小学校から高校までですが。

 

 

ベネッセ教育総合研究所「子どもたちの読書活動の実態に関して」より

 

この調査はすごく面白い。

 

 

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