松沢呉一のビバノン・ライフ

BLとAVと女性客—『マゾヒストたち』[無料記事編 3]-(松沢呉一)

「世界はマゾでできている」は16禁です—『マゾヒストたち』[無料記事編 2]」の続きです。

 

 

 

蒼武蔵のトークイベント

 

vivanon_sentence女王様にして緊縛師の青山夏樹さんも「世界はマゾでできている」に客として御来場の予定。彼女と山田龍介とは交流があって、私も一緒にカラオケをしたことがあります。龍ちゃんは な歌いがらチンコを出してました。また、ゴン太さんのチンコに最初に切れ目を入れたのは夏樹さんです。夏樹さんが福岡のSMクラブにいた時の話。クニオさんはいろんなところに出入りしているので、夏樹さんとも面識はありそうです。紅葉さんとは初対面かな。紅葉さんは月花女王様の専属と言っていい奴隷でしたから(追記:紅葉さんとも一回会ったことがあるそうです)。

夏樹さんにも出てもらいたいのですが、あくまでこの日はマゾが主人公です。女王様が出ると、もともとその影に隠れてしまう人たちなので、M男さんたちが見えなくなります。あえてそこを明るみに引っ張り出すのがこのイベントの趣旨ですから、女王様のお客さんたちはM男たちの話を拝聴するように。

夏樹さんが最近よくショーで縛っている蒼武蔵さんのイベントが同じパンディットで11月2日(土曜)にあります。(このイベントの報告はこちらに書きました)

 

 

 

 

武蔵さんは今年の東京レインボープライドで話題になっていた人です。いい体してんのよ。夏樹さんもボディビルをやっているので、夏樹さんが縛ると、マッスル対決で、見たことのない美が醸し出されます。縄が筋肉にはじかれながらも食い込む。弱々しい女が縛られるよりも、強そうな男が縛られて屈服する方がダイナミックだと私は思います。

彼が世に出たのはゲイビデオの男優としてです。遅咲きです。当日、その話をするのでしょうから、ここでは触れないでおきますが、ノンケなのにゲイビデオに出た話がムチャクチャ興味深い。

 

 

AVを鑑賞する女たち

 

vivanon_sentenceこの日は女性客が多そうです。AV男優のイベントをやると、女のファンがいっぱい集まります。AV女優のイベントに男のファンが集まるのとバランスがとれてます。ゲイ男優でも女のファンがいます。BLの流れです。

性教育にポルノ導入を検討するデンマークと未だ性器を出せない日本—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[18]」に書いたように、デンマークでは男の半数、女の3分の1がインターネットでポルノを楽しみ、北欧全体では10代男子の99%と10代女子の86%がポルノを見たことがあるとの調査結果が出ています。

米国のインターネットでのポルノ利用率はもっと女の率が高くて、男女が拮抗していたはずです(女の中での利用者率が低くても、女の場合はエロを楽しむ手段が限られるため、ヘヴィー・ユーザーになりやすく、利用数で男女比をとると、女の方が数値が上がる可能性があります)。

日本でもエロ漫画の配信については男女比は変わらないでしょう。これが現実。

ポルノ映画館に行きにくく、エロ本は買いにくく、エロビデオは借りられにくかったのが、インターネットで人知れず楽しめるようになった結果です。「女はビジュアルでは興奮しない」なんて話はウソだったことがはっきりしました。

BLマーケットの大きさを見たって、「ポルノは男が作って男が消費し、女が搾取される」なんてステロタイプの思い込みはすでに成立しません。作り手も大多数は女です。いい加減にリセットしましょう。

前に書いたように、世の中には「女向けのAVがない」と嘆くポーズをしたがる女たちがいて、「んなもん、いくらでもあるわ、ボケ」と突っ込みたくなります。本当は興味なんてないくせに、「男社会は不公平」と主張するためにウソを言う。

もし本当にそう願っているんだったら調べるでしょ。調べてそういうAVを推奨するでしょ。そういうこともせずに、おためごかしを言うだけの人々の外側で着々と時代は変わっていて、この分野で社会を変革しているのはフェミニストではなく、エロが大好きな「あばずれ」(望ましき女の規範から外れる人)たちです。

あばずれたちも、マゾ男優にまでは興味を持たないかもしれないですが、山田龍介と紅葉さんはAVにも出てます。つうか、山田龍介はもっとも多数のビデオに出ているマゾ男優かもしれない。皆さんが好きなタイプとは違うかもしれないですが、「いろんな男優がいる」ということを知っておくために、AV男優が好きな女子たちはあっちにもこっちにも来るといいと思います。

※今年の東京レインボープライドのパレードより

続きます

 

以下はテンプレです。

 

 

世界はマゾでできている—松沢呉一著『マゾヒストたち』(新潮文庫)発刊記念

マゾしか出ません!!

 

 

 

本年5月をもって休刊となった「スナイパーEVE」で連載していた「当世マゾヒスト列伝」が『マゾヒストたち』として新潮文庫に登場。

18人の選び抜かれたマゾ男の精鋭たちのインタビューとコラムで構成された希有なM男たちの肖像。
その発刊を記念して、マゾヒストたちの生の声を聞きます。

女王様がいてのM男ですが、女王様は出ません。
M男が主人公のイベントです。

 

【出演】
松沢呉一(生活マゾ)

【スペシャルゲストのマゾたち】
クニオ(露出・身体改造・性豪・包茎自慢の変態)
山田龍介(元キックボクサー・ヤプーズマーケット代表)
紅葉(盲目のピアニスト・マゾ)

予定していたゴン太さんは欠席となりました。その代わりに変態界の大物が急遽出演決定。『マゾヒストたち』には登場しない人物ですので、当日までお楽しみに。

※本イベントは16禁です。15歳以下の方はご遠慮ください。

 

 

【会場】

高円寺パンディット

☎︎090-2588-9905


 

【日時】

2019年11月17日(日)

開場/ 13:00
開演/ 13:30

2時間半程度を予定しています。

 

【参加料金】

<お得な本付き料金>

前売 ¥2,500  当日 ¥2,600

<本なし料金>

前売 ¥2,000 ¥当日 ¥2,500

※いずれもドリンク別です。

予約はパンディット(二種の予約は入口が別になってます)

またはFacebookのイベントページで「参加予定」をクリックするだけで予約扱いになります。当日、どちらかを選択のこと。

 

ゲストのプロフィール

 

クニオ 思春期から裏山でセックスを始め、十代でストリップ劇場の楽屋まで出入りするように。以来、全国のストリップ劇場を回り、同時にトルコ風呂にも行くようになった。自身がマゾという自覚はないが、性器に傷をつけて黴菌をつけて化膿させるのが好きで、SMショーにもMとして出演している。自身が身体改造マニアという自覚はないが、ピアスを体中に入れて銭湯に通っている。包茎が自慢で、包茎サークルのメンバーでもある。

山田龍介 ブロのキックボクサーだったが、マゾに目覚めて、名古屋の北川プロのビデオにデビューし、多数のビデオに出演。最多本数に出たマゾ男優かもしれない。結婚し、子どももいたが、家庭を捨てて、マゾとして生きることを決意して上京。浅野ナオミ女王様の奴隷として軟禁生活を送ったあと、監禁専門ビデオメーカー・ヤプーズマーケットの代表に。同社の出演者はヤプーと呼ばれ、経営者・制作者にしてヤプー0号として出演もしている。

紅葉(もみじ) 幼少期に事故で両眼を失明。盲学校に通いながら、ビンタをされたい願望が高まる。数学専攻で国立大学に進んだあと、ピアノの勉強のため、ポーランドに留学。帰国後、自身の欲望を抑えられず、単身、SMクラブに乗り込み、数学、ピアノに続いてマゾとしての実践を開始、V&Rの作品に出演してマゾ男優としてデビュー。本に掲載されたインタビューの段階では独身だったが、その後、結婚。当日はマゾの結婚生活についても聞けるはず。

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