松沢呉一のビバノン・ライフ

映画「主戦場」の裁判と『マゾヒストたち』の重要なお知らせ—『マゾヒストたち』[無料記事編 19]-(松沢呉一)

世界はマゾでできている」は大盛況でした[下]—『マゾヒストたち』[無料記事編 18]」の続きです。

※『マゾヒストたち』に登場する方々は、前置をすっ飛ばして、最後を読んでください。

 

 

 

映画「主戦場」をめぐる裁判

 

vivanon_sentence映画「主戦場」の裁判は呆れるなあ。もちろん、原告に対してです。映画を観てはいないので、その内容や目的はすっとばすとして、映画でインタビューを使用する際の手続きとして何も問題はないでしょう。

承諾書、合意書にサインをしてもらい、そこには上映される場合の手続きも記載され、自身のパートについては事前に映像を送り、試写の案内も送って異議申し立てができるようにしていたのですから、これ以上、何が必要かと。

商業映画として上映する旨の説明がなかったのだとしても、学術研究のために撮影されたものが商業映画として上映されてはならないということはないですから、「目的外使用であり、説明不足だった」とまでは言えないかと思います。学術研究として書かれた論文が商業出版されることもよくあります。

「言葉の一部を都合よく抜き出されて、自分が言いたかったこととは真逆の主張をしているように編集された」みたいな話だったとしても、そのチェックは可能だったのですから、法的にも一般常識的にも、原告らの主張は無理があります。

ただの嫌がらせとしか思えず、結果、話題作りに協力ってところ。

このケント・ギルバートの主張に至っては笑うしかない。

 

原告の弁護士は、ギルバートがデザキ監督とかわした承諾書が日本語で書かれており、映画の販売(商業上映)のことなどが分からず署名したと主張。一方、被告の弁護士は、ギルバートがサインした承諾書は英語のものだとした上で、日本語が分からず署名したとした原告弁護士に対し、再確認を要求した。

——2019年11月14日付「日刊スポーツ」より

 

ケント・ギルバートはそこに書かれているのが日本語か英語かもわからなかったのか。何人だよ。

 

 

在日2年半のバングラデシュ人との会話

 

vivanon_sentenceトランクルームが台風19号で浸水し、保険用に濡れた本の写真をスマホで撮って、コンビニでプリントしようとしたら作動せず、店員に聞きました。

彼はディスプレイに表示される日本語を小声で読み上げて、鮮やかに操作していきます。

「すげえ。××君(名札に書かれていた名前)はどこの国から来たの?」

「バングラデシュだよ」

「よくそんなにスラスラ日本語が読めるね。漢字もいっぱいあるのに」

「2年半いるからね。2年半いるけど、日常会話しかできないよ」

流暢な日本語で、悲しそうにそう言います。

「日本語の本も読めるんだ」

「簡単な本ならね」

「バングラデシュにいる時から勉強していた?」

「ちょっとだけね。でも、ちょっとだけだよ」

彼のおかげで無事プリントすることができました。友だちみたいな話し方にも好感を持ちました。

ケント・ギルバートは彼を見習うように。

 

 

インタビューの再録はどこまで許諾が必要か

 

vivanon_sentence映画の場合は肖像権が関わるので、またちょっと違ってきましょうが、雑誌でインタビューした内容を書籍に再録する場合、再録の許諾をとるかどうかはケースバイケースです。

SMAP裁判に見るインタビューの著作権- ゆるゆる著作権講座 2」「インタビュー原稿のギャラ配分- ゆるゆる著作権講座 3」「連絡がとれない人のインタビュー原稿の扱い- ゆるゆる著作権講座 4」を参照のこと。

その名前で読ませるようなもの、つまりは著名人の場合は許諾が必須だろうと思います。目次や帯、カバーにその名前まで入れ、広告にも名前を入れたりするので、パブリシティ権にもひっかかってくる話です。

私自身、メディアで名前が出ているような人たちで、著作権が発生するような内容を語っているケースでは、「ビバノンライフ」で再録する場合も原則連絡をしています。

また、そこまでの著名人じゃなくても、個人が特定されるような内容については「雑誌はいいけれど、本は残るので出されたくない」「あの頃と状況が違う」ということもあるので、連絡をします。

闇の女たち』では、ほとんどの場合、インタビューの段階では、公開するかどうかもはっきりしていなかったので、「いずれどこかに出すかもしれないし、本にするかもしれない」みたいな曖昧な説明をしていて、それを前提に「これは書いちゃダメだよ」とあちらがNGの点を指定してきていて、さらに私の方で個人が特定できるような内容はカットしているので、改めて許諾は必要ないかと思います。

承諾書みたいなものにサインをしてもらったわけではなく、謝礼は出しても領収書はもらえないので、書き残したものは何もなくて、すべて口頭ですが、その録音は残してあります。

それでも、本になった段階で、「報告はしておきたいし、再録料も少しは払いたい」と思って探したのですが、一人も見つからなかったことは報告した通り。

 

 

連絡が来てない方はご一報ください

 

vivanon_sentence

マゾヒストたち』のインタビューは雑誌に掲載されたものの二次使用です。

著名人ではなく、個人が特定されることも書いてないのですが(山田龍介を除く。彼は本名です)、自分の言葉が自分の知らないところで流通するのはいい気持ちはしないでしょうから、連絡がとれる人については連絡をしています。

この連絡については「スナイパーEVE」の編集長に依頼しました。私が当時使っていた携帯電話のデータは消えているものですから。

しかし、連絡がとれない人たちがいました。女王様が連れて来てくれたM男さんもいて、その女王様の連絡先がもうわからなかったり。

通常はこういう場合、「ご連絡下さい」と本に一文を添えるのですが、うっかりしてました。

遅くなりましたが、ここでお伝えしておきます。

 

マゾヒストたち』にインタビューが掲載されている方の中で、「スナイパーEVE」編集長、または新潮社の編集者から連絡が来てない方は、新潮社の岑(みね)までご連絡下さい。

03-3266-5440

編集部の代表電話ですので、文庫編集の岑につないでもらってください。

続きます

 

 

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