松沢呉一のビバノン・ライフ

写真の反転に気づく秋山理央とその被写体の謎—200回収容所から脱出したと語る元英軍兵(たぶん虚言)[上]-(松沢呉一)

年末に「ビバノン」の未発表原稿を整理していて発見したものを出しておきます。「もう一人の毛皮の被告ヴェラ・サルヴェクアルト—収容所内の愛と性[24]」のあと出そうと思っていたののですが、毛皮や髪の毛が気になってしまって、そっちの話にずれこんだまま出すのを忘れてました。ひどい。

収容所内の愛と性」シリーズは終わらせてしまったので、別建てで出しておきます。冒頭の文章は元のまま残しています。

 

 

 

左右反転している写真に気づいた秋山理央

 

vivanon_sentence残虐な女たちは他にもいるのですけど、キリがないし、このシリーズは「愛」もテーマなので、ロマンスがないただの残虐はカットするとして、もうひとつロマンスを紹介しておきます。

ヒムラーが頼った武士道とオカルティズム—ルドルフ・ヘス著『アウシュヴィッツ収容所』を読む[8]」でヒムラーを凝視する捕虜の写真を出しました。

 

 

これを見たカメラマンの秋山理央が「左右が反転している」と指摘してきました。彼は「胸の略綬とアドラー」が気になってこのことに気づいたそうです。略綬とアドラーって何のことかわからず、検索してしまいました。

たしかに襟が左右逆ですから、言われればその通りってことですけど、普通はなかなか気づかない。そのため、画像検索すると、左右反転している写真が大量に出回っています。

私も今回はそうだったように、そこにあるものはそのまま受け取ってしまう人が圧倒的に多い中、こういうところに気づけるヤツは心から尊敬します。

「この写真のおかしなところを指摘しなさい」という問題を出したら気づく人でも、ふだんは情報に対して、疑う姿勢なく流してしまっています。私はただひたすら、捕虜の表情と乳首に意識をとらわれて(笑)、また、それに対するヒムラーや取り巻きの表情から意味を読み取ろうとすることに終始して、服にはまるで意識が向かいませんでした。

この時のやりとりはFacebookを見ていただきたいのですが、この捕虜は赤軍兵でいいのかどうかも彼に聞きました。もともと拾ったサイトにそう書いてあっただけで、私は確認していなかったものですから、ついでだと思いまして。彼からは、帽子から赤軍であると回答がありました。私もその質問をしたあと、この帽子を自分で調べていて、ほぼ赤軍の帽子に間違いなさそうだとの結論に達していました。

秋山理央は、出版社なら編集者や校閲者か、社員の経費のごまかしをチェックする経理に向いてます。

すでに「ヒムラーが頼った武士道とオカルティズム—ルドルフ・ヘス著『アウシュヴィッツ収容所』を読む[8]」では差し替えてますが、正しくは以下(こちらはこちらでトリミングされてますが)。

 

 

こちらの写真はロシア語の記事から拾ったのですが、自動翻訳でこの記事を読んだら、この写真はいわくつきでした。

 

 

あの捕虜は英国軍のホレス・グリーズリー?

 

vivanon_sentenceこの写真を最初に見た時、「この捕虜はこのあとどうなったんだろう、殺されたんだろうか」と気になりました。どのみち、この時期に捕虜になっていた赤軍はほとんど殺されたか、餓死したか、病死してましょうが、こんな挑戦的な表情で睨んだら、すぐに射殺されたのではないかと。

気にしながらも、それ以上調べようとはしなかったのですが、2010年2月12日、英テレグラフ紙が注目すべき記事を出していることをたまたま見つけました。この彼はイギリス兵のホレス・グリーズリー(Horace Greasley)という人物だとあります。

以下は今もそのまま残っているテレグラフ紙の記事。

 

 


2010年2月12日付「Horace Greasley」より

 

上の大きな写真がホレス・グリーズリー。この記事によると、あのあと生き延びて、この記事の直前である2月4日に亡くなったとのことです。

 

 

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