松沢呉一のビバノン・ライフ

包茎で知る「逆転した性差別」とパターナリズム—包茎復元計画[2]-(松沢呉一)

始まりはパンディットと銭湯だった—包茎復元計画[1]」 の続きです。

 

 

包茎の逆襲はデンマークから

 

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小貫大輔・東海大教授の「「仮性包茎なんて言葉はやめてしまえ」プロジェクト」」の中に、ヌーディスト公園で調査をした話が出ています。対して日本では海水浴場。

この類いの調査は見栄が入ります。匿名であってもそうです。その点、現物を目視できる方がいいし、目視される場面だと人は正直にならざるを得ません。

「日本には銭湯があるじゃないか」と思うところですが、銭湯は微妙な空間で、部外者が各銭湯コミュニティに入り込むには時間がかかります。また、銭湯コミュニティは銭湯外の地域コミュニティとつながっているため、「金玉を出しているけど、金玉の話をしない空間」です。チンコを出すことが目的なのでなく、風呂に入ることが目的なのであり、全裸だからと言って、なんでも話せるわけではない。

シモの話にオープンな人もいますが、そうじゃない人もいて、こういう場合はそうじゃない人に合わせますから、金玉の話はまずしない空間になってます。

コミュニティとコミュニティ外との人、コミュニティ外の人同士では、儀礼的無関心が支配する空間なので、こういう調査には協力してくれないことが多いかと思います。ほらね、刑法174条の厳しさは学術にも影響していますでしょ。

ほかにも注目した点はあるのですが、とくに以下の部分に私は注目しました。

 

昨年、「インタクト・ デンマーク」というグループは、市民が国会審議を要求するために必要な 5 万人の署名を集め、医療上の理由がない包皮切除に18歳という年齢制限をかける法案を提出するにいたったそうです。女性性器切除(FGM/FGC)が非人道的行為であることには国際的なコンセンサスがあるのに、なぜ男児の性器切除は認められるのだ! という訴えが、理を重んじる北欧圏では特に説得力があるようです。

 

またもデンマーク。

女性器とのアンバランスについては東優子教授も指摘してました。なぜ女性器切除はああも問題になっているのに、チンコの皮は今なお「いいこと」であるかのように切られ続けていて、多くの男たちが包茎に対して強いコンプレックスがあるのか。

これは大変刺激的なテーマです。これ自体が刺激的であるとともに、「なぜ私はこれについて深く考えることがなかったのか」をずっと考え続けています。

私自身、米国で小さい頃に割礼された人が大きくなって訴訟を起こしているという話は知ってましたし、包皮を守る運動や包皮を復活させるサイトも見たことがあって(「包茎自慢の男たち -知られざる包茎サークルの実態」)、以前、東さんともこの話を軽くしたことがあったと思います。しかし、それ以上、深く探究しようと思ったことがありませんでした。

※包皮を復活させるための団体Restoring Foreskin orgのサイトより。restoringは復元。foreskinは包皮

 

 

なぜこれまで強い興味を抱かなかったのか

 

vivanon_sentence私はノンケのくせにチンコが好きで(見るのが)、とくに中学生の包茎が好物です(見るのが)。中学生の尻も好きです(見るのが)。しつこいですが、銭湯で警戒されても困りますので。見るのが好きってだけでも警戒されそうですけど。

若い男の子の包茎を見るのが好きなのは「皮の中に夢が詰まっているから」とよく言っているのですけど、そのくせ、包茎についてしっかり調べようとしたことがありません。

歴史も調べたことがありません。戦前のものを読む時に、その話が出てきても、注目することがない。陰毛の話や脇毛の話、あるいは提灯や暖簾の話だったら見逃さないですけど、包皮はどうでもいい。そもそも出てきたこと自体なかったかもしれない。悩み相談でも、陰萎(インポ)や短小は出てきても、包茎はなかったんじゃなかろうか。

 

 

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