松沢呉一のビバノン・ライフ

銭湯を利用する人は都民の何パーセントか—新・銭湯百景[3]-(松沢呉一)

勝海麻衣が表現したかもしれない銭湯の現実—新・銭湯百景[2]」の続きです。

 

 

我が腹とトランクルームのレスキューについて

 

vivanon_sentence1週間ほど前にひどい下痢になってしまいました。おそらく食中毒です。

以前、食中毒をやった時はもっとひどい下痢で、立ち上がるだけで漏れる。パンツを履き替えた直後にまた漏れる。その時は腹痛もひどく、熱も出たので、さすがに病院に行きまして、カンピロバクターによる食中毒だと診断されました。以来、食中毒には親しみがあります。

今回はそれほどひどくはなく、サルモネラだと自己診断し、だったらほっときゃいいかと思って数日安静にしてました。

5分に1回トイレに駆け込むような状態は初日だけで、翌日は1時間から2時間に1回程度、3日目には回数は激減して、1日に3回程度となりながらもなお下痢で、完全に下痢が治まったのは4日目でした。

2日目に外出した際に、足許がフラフラして、低いながらも熱がありそうだったし(体温計を使わない主義)、トイレを探すのに苦労したので、以降は外出も自重して、家でジッとしてました。

ずっと籠っていたため、先週末の夜、急に外に出たくなって、トランクルームの整理をすることにしました。

台風19号で濡れて、どうにもならない本は捨てたいのですが、倉庫会社の人が「写真があるので大丈夫だと思いますが、万が一のことがあるので、もうしばらく保存しておいてください」と言っていました。そこで、本はそのままにして、濡れた段ボール箱は先日一部捨てました。けっこうなスペースをとっているので、まだ残っているのも捨てたい。

トランクルームは隣町にあって、徒歩15分といったところかな。ところが、途中で疲れ切ってしまいました。体力が思い切り落ちてます。そのあたりに銭湯がありまして、そこで休憩することにしました。

これが戦争末期、ナチスの収容所から収容所への移動を強いられた「死の行進」だったら、射殺されて、路傍に打ち捨てられたところです。自殺なんてとうていできないし、する必要もない

※人ごととは思えない「川崎市市民ミュージアム 収蔵品レスキューの状況について」より。この経過報告を見ると、私の被害なんて小さい、小さい。本の類いは、修復するより新たに購入した方が安くつく。複製物については廃棄して、保険金で買い直すってことになると見た。

 

 

銭湯数と銭湯利用者数

 

vivanon_sentence浴槽に入りながら計算をしました。以下は家に帰ってから正確な数字で計算し直したものです。

東京都の人口は2020年2月現在13,951,636人。1,400万人とします。都内の組合加盟銭湯の数は約540軒。26,000人に1軒です。この26,000人が全員銭湯に行けば銭湯は潰れません。入り切れずに大混乱になって建物が潰れますが。

東京の銭湯は、1日平均の客数が120人から130人くらい(下の表参照)。この数字を見るまで、100人を切ると思ってました。なにしろ客が私しかいないことが珍しくないのが今の銭湯ですから。

銭湯は流行っているところとそうじゃないところの差が大きくて、高円寺の小杉湯は1日平均300人以上です。そういった銭湯が数字を上げているのだろうと思います。

1軒130人として1日7万人。東京都民の0.5%しかいない。200人に1人。実感としてもこんなもんです。スーパー銭湯を入れても1%にはならない。

連日行く人たちもいますが、2日に1回、3日に1回という人たちがもっとも多く、「日曜日は家族で行く」「半月に1回サウナに入りに行く」といった人もいます。組合の銭湯利用者を「毎月必ず銭湯に行く人」とすると、実数で25万人から30万人くらいじゃないでしょうか。都民の2%くらい。

もっと幅を広げて「年に最低1回は行く人」とすると、「年末年始だけ行く」「夏休みに子どもと行く」「商店会のイベントのあと打ち上げとして銭湯に皆で行く」といった人たちも入ってきて、40万人くらいか。都民の3%くらい。

以下、「銭湯利用者」は「毎月必ず銭湯に行く人」として話を進めます。

東京くらしWEBより。銭湯は見る見る減ってます。

 

 

next_vivanon

(残り 806文字/全文: 2531文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ