松沢呉一のビバノン・ライフ

アフリカ諸国への疑問—新型肺炎(COVID-19)について触れにくい事情[17]-(松沢呉一)

インド・韓国・ドイツへの疑問—新型肺炎(COVID-19)について触れにくい事情[16]の続きです。

 

 

アフリカ大陸の数字

 

vivanon_sentence私が連日数字を見続けているのはアフリカです。アフリカでは感染者、死亡者とも数字はまだ少ない。

内容が古くなってしまっていますが、基本的なところは以下の「We don’t know why so few covid-19 cases have been reported in Africa」が参考になります。半月もすると内容が古くなるのですから、ついていくのが大変です。

 

2020年3月10日付「NEW SCIENTIST

 

1月の段階で検査ができるのは2カ国だけだったのに、この時点で37カ国が検査が実施できるようになったとあります。

3月30日現在、ボツワナなど、わずかな国を除いて感染者が出ていて、アフリカのすべての国で検査ができるようになっているのだと思われます。

対応が遅れたことが感染者の少なさの一因になっていることは間違いない。

 

 

アフリカでは致死率が低い

 

vivanon_sentenceこの記事ではWHO職員も研究者も、アフリカでは死者が出ていないことから、まだ大きな発生はないと見ています。しかし、見逃している部分が相当数あるとも指摘されています。検査の精度が低いことと、その体制がないためです。

事実、その後は死者も増えています。ただし、3月30日現在、最大感染者数の南アフリカでは1,137名の感染者のうち、死亡者は2名のみ。0.18パーセント。ドイツ以上に感染者に対する死亡者が少ない。

現状まだ感染者の数が少ない国が多く、その少ない感染者は、高齢者が含まれる観光客だったり、NGOの関係者や外交官など外からの人が多くを占めているため、感染が広がった時の致死率がどうなるのかまでは正確には読み取れませんが、スーダンのように感染者5名で死亡1名みたいな国は母数が少なすぎるので無視するとして、エジプト、アルジェリア、モロッコなど、感染者が3桁に達している北部アフリカの国々の数値を見ても、感染者に対する致死率が1割を超えている国はないことから、現状では致死率が低いと見なせます。

COVID-19の感染は圧倒的に北半球に傾きがあって、その点で、アフリカやインドで感染者が少なくてもおかしくはないのですけど、これらのエリアにおいて感染者が少ないのは、他の病気に紛れている可能性があるとの指摘もなされています。咳や熱は他の病気でも出る、ごくごくありふれた症状のため、それこそ米国でインフルエンザとされてきた病気にCOVID-19が混じっていたと言われているように、誤診が起きやすく、とくに他の病気に罹っている場合には見逃されやすい。

その場合には亡くなってもCOVID-19の死亡者にカウントされないため、どこまで捕捉されるのかの問題はありながら、それによって致死率が変化するわけではありませんし、どうせ治療ができないのですから、誤診があっても臨床的には問題なし。

感染者が少ないことはいくつかの理由で説明がつくとして、なぜ死亡者が少ないのでしょうか。ドイツや韓国のような検査をやっているはずがないのに。これも簡単に説明がつきます。

※日経「新型コロナウイルス感染マップ」より

 

 

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