松沢呉一のビバノン・ライフ

カミュ『ペスト』がベストセラーになるのみならず—コロナの時代に流行るもの・廃るもの[2]-(松沢呉一)

明治時代の花見復活を提案する—コロナの時代に流行るもの・廃るもの[1]」の続きです。

 

 

 

今月で廃業する羽田の「入船湯」

 

vivanon_sentence「若いヤツらはなんも考えずに行動していてけしからん」との声が世界的に高まっているわけですけど、しゃあないと思います。10代から20代にかけての若い世代がコロナパーティに参加したところで、感染して発症して重症化して死ぬことはほとんどないわけですから。健康体の若い世代でも稀に死ぬことはあるにせよ。

ドイツなどのように、それを犯罪として取り締まるとなれば、バレないように、いよいよ閉じた狭い空間に集まるしかなくなりましょう。

他人に感染させる可能性があるので、年寄りは若い世代に近づかない。若い世代のいる場所に行かないことが肝要です。

そう考えると、若い世代にとやかく言うより、私に「ジジイ、死ぬぞ」と誰か注意した方がいいと思います。

でも、そんなに私はリスクの高い行動はしてません。あっち行ったりこっち行ったりはしてますけど、行くのはだいたい銭湯ですから、温度と湿度が高い上に、湯で流されるので感染はしないとされています。脱衣場や受付で話すこともありますが、ほんの短時間です。

銭湯に付随して周辺を見て回りますが、その過程でジックリ人と話し込むことは稀です。稀ではあれ、あるにはあるのですけど、外で立ち話ですから、問題なし。

前に書いたように、銭湯は客数もさほどは落ちてないようです。

スーパー銭湯は臨時休業になっているところがあるのに対して、組合銭湯ではそんな例はないと思っていたのですが、この週末に関してはチラホラと休業したところがあります。客数の問題ではなく、経営者の判断でしょう。

また、今月いっぱいで廃業する銭湯もあるのですが、たまたまこのタイミングになっただけで、前から決まっていたことです。ほとんど毎月のように都内の銭湯は廃業していますから、こういうこともあります。

しかし、近隣の会社、工場、商店、大学で支えられている銭湯は大きな影響を受けているかもしれず、こんな状態が長く続けば、ただでさえ儲っていないんですから、コロナ廃業に追い込まれる銭湯が出てきそうです。

※大田区羽田の入船湯。羽田空港にもっとも近い銭湯です。3月いっぱいで廃業です。「長い間」とありますが、ここは江戸時代から続く銭湯でした。設備の老朽化が理由ですが(下記の告知参照)、客が入っていればどうにでもなる話です。

 

 

書店の動向と売れる本の動向

 

vivanon_sentenceといった話は書きやすいのですが、「売り上げが伸びている」「今期は前期を上回る」なんて話は書きにくい。やっかまれますし、「こんな時に不謹慎だ」と怒る不謹慎バカが湧きます。戦中の矯風会みたいな連中は気味が悪い。一部でも潤う業界がないと、社会が全滅するぞ。

では、ここからは調子のいい話をこっそりお届けします。つってもそれなりに知られていることであって、「知られざる」って話ではないですけどね。

 

 

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