松沢呉一のビバノン・ライフ

ライブハウスへのコロナ軍の猛攻—コロナの時代に流行るもの・廃るもの[3]-(松沢呉一)

カミュ『ペスト』がベストセラーになるのみならず—コロナの時代に流行るもの・廃るもの[2]」の続きです。

 

 

 

 コロナ時代のライブの条件・追加編

 

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このシリーズの前々回に書いた相談で、イベントをやる条件として入れるのを忘れていたことがふたつあります。

ひとつは「マイクの消毒」です。ほとんどの人は手袋なんてしないでマイクを握り、それを口の近くにもってきて息を吸って吐いて唾液をかけます。複数の出演者で使い回すこともよくありますから、感染する可能性はあるでしょう。

カラオケボックスはアルコールでマイクの消毒をしていますが、ライブハウスで消毒しているって話は聞いたことがない。

テレビやラジオでもマイクの消毒はしていないでしょう。しっかりしたSMクラブでは道具を消毒します。消毒したSMクラブのディルドより、ライブハウスや放送局のマイクの方が危険。

あの相談はトークイベントについてでしたから、条件つきで「やればいいだろ」と言いましたが、メタル系やパンク系ライブの主催から相談があったら、「唾液を飛ばす歌い方禁止」「頭をグルグル回して汗を飛ばすのはステージでも客席でも禁止」「ダイビングやモッシュ禁止」「椅子席にして、立つのは禁止」にするしかなく、それができないなら「中止にすべし」と言うと思います。

アイドルも、椅子席だったらいいけれど、スタンディングのライブは厳しいかもなあ。そこは音楽の力でもあるのだけれど、スタンディングで隣と距離をあけて、体を動かさないなんてことは難しく、高揚すると、ワケがわからなくなるってものです。

もうひとつ忘れていた条件は「楽屋を長時間使用しない」です。広い楽屋だったらいいのですが、たいていのライブハウスの楽屋は狭い。客席以上に換気が悪い。そこでダベります。アウトです。

※この前の週末も臨時休業でしたが、4月に入って歌広場は全店長期休業に。カラオケボックスも客が落ちてましょうから、人件費を考えると、休んだ方がいいという判断でしょうが、日給、時給のバイトたちは干上がります。

 

 

ライブハウスのイベント中止をカウント

 

vivanon_sentence都内のライブハウスはどのくらい中止になっているんだろうと思って3月のスケジュールをカウントしたら、通常、椅子席でやっているライブハウスで、もっとも少ない店は週に1本程度の中止または延期(以下、まとめて中止とします)で済んでいますが、多い店では半分以上が中止。

通常スタンディングでやっているライブハウスでも週に1本程度の中止で留まっているケースがありますが、だいたい半分から3分の2が中止といったところです。

開催された公演も、出演バンドや個人の出演が取りやめになっていたりしますし、本来の予定が飛んで、急遽穴埋めしたと思わしき企画になっていたりします。

影響がゼロのライブハウスは見た範囲では皆無です。

実施していても、入場者は減ってましょうから、月間の入場者収入は3割から8割くらいの幅で落ちていそうです。

東京以外でも地域によっては相当にひどくて、ライブハウスでの感染のあった大阪では騒動以来、1本も公演のないライブハウスがありますし、他の場所でも、3月に実施されたライブが1本しかないライブハウスを見つけて、なんの縁もないのに、涙が出そうになりました。とくにコロナで話題になった記憶のない場所でも、東京や大阪のバンドのツアーが中止されるなど、多かれ少なかれ影響が出ています。

四谷アウトブレイクは企画が次々と飛んで、とち狂った名物店長が店に住み込んでYouTubeの中継を2週間続ける無謀な作戦に出ました。YouTubeのチャンネルはこちら

 

 

渋谷ロフトヘブンでコロナ感染

 

vivanon_sentenceなんて話を数日前に書いて、ライブハウスへのエールを送ろうと思っていたのですが、ちょいと噂を小耳に挟みまして、タイミングを間違うとマヌケになるので、他のテーマを先に出すことに。

で、昨日になって、渋谷ロフトヘブンがその噂について以下のお知らせを公表。

 

 

 

 

 

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