松沢呉一のビバノン・ライフ

安倍昭恵と高井崇志議員は若者か?—健康な若い世代はほとんど死なない病気[11]-(松沢呉一)

若者叩きの始まりは専門家会議の文書か?—健康な若い世代はほとんど死なない病気[10]」の続きです。

 

 

若者叩きは専門家会議のミス

 

vivanon_sentence私は2月から3月にかけて、国内報道をほとんど見てませんでした。自分自身、感染症一般の知識がなさすぎることに気づいて明治時代のコレラの本を読み続け、WHOのサイトでコレラに限らず、現在の感染症のさまざまを調べ続け、中国やアフリカ大陸の報道を読むのに忙しかったためです。とくに新型コロナウイルス感染症対策専門家会議新型コロナウイルス感染症対策の見解を出した頃は、巨大陰嚢のことで頭がいっぱいでした。

今回、報道の流れを遡ってみて、専門家会議のあの文書が若者叩きにお墨付きを与えた形になって、その潮流を作り出したことはほとんど間違いなくて、これが専門家会議に対する不信感を作り出したようにも見えます。

専門家会議のメンバーである岡部信彦氏のインタビューを読んでも、あの段階で若い世代に絞って犯人扱いすべきではなかったと思います。

 

2020年3月6日付「BuzzFeed

 

 

このインタビューでの岡部信彦氏の意見には同意できる点が多数あります。

たとえばここ。

 

わが国は残念ながら、お上がお墨付きをくれないと動かないということがしばしばみられる社会です。「行政、何やっているんだ!」と批判しながら、行政の言うことを聞きたい国民性なのかなとも思います。

 

これは全世代に共通の特性であり、メディアに関わる人たちでも同じです。政府や行政がどうしようと知ったことではなく、私は早い段階で、感染したらどうなるかをシミュレーションして、病院に頼らず、自主隔離するのがベストと判断してその準備をしてましたが、お上の決定を待つ人の方が圧倒的に多いでしょう。

基本的なところで岡部氏の意見には賛同できるとして、「ライブハウスやカラオケに行くのは10代後半」という思い込みがここにはあります。それが間違っていたことは今では明らかです。病気は世代によって違う結果をもたらしますが、行動は世代に規定されているのではありません。無軌道は若者の特権ではないことは志村けんを見れば一目瞭然。

 

 

無思慮で無軌道なのは若い世代だけではない

 

vivanon_sentenceたとえば、この人は?

 

2020年4月15日付「文春オンライン

 

安倍昭恵(57)ってやっぱりすごい人です。行政が何を言おうが、政治家が何を言おうが、自分の価値観を貫いてます。もう少し違う形でこの才能を活かせないものか。

一般人なら十分にガードをした上で旅行してもいいとも思うんですよ。もう過ごしやすい気候になってますから、テントを積んでバイクで一人旅なら理想的。その点、安倍昭恵の場合は念力とかオーラとかでガードしていますけど、それにしても立場を考えた方がよくないか?

「文春オンライン」には立憲民主党を除籍された高井崇志議員(50)が歌舞伎町をおっパブに行っていたというスクープも出ました。ソープランドであれば、コロナフリーのセックスが可能になる余地はあると思うのですが、おっパブでどうやったら感染しない方法があるのかわからない。たぶん防護服を着ていったんじゃないでしょうか。

実際のところは、記事にある通り。これも一般の人で、なおかつ感染してもいいと覚悟し、自主隔離する準備のもとでやっているなら私は擁護するかもしれないけれど、議員でこれはないわ。おっパブで射精しちゃいかん(そこかよ)。

でも、これはヘルスやソープランドで射精すると性感染症になることを怖れての、議員らしさを決して忘れない慎重なプレイです。

こういう時に言い逃れするのが多い中、あっさり認めたので、そこは潔い。

無軌道な若者に比して、中年は慎ましやかな生活ぶりですね。んなわけかあるか。

 

 

何がどうなっているのか理解していないおばあちゃん

 

vivanon_sentence

スーパー銭湯は休業要請の対象で、組合銭湯は対象外です。前に説明したように、これは合理的な区別です。

 

 

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