マダガスカルのCovid-Organicsに対するWHOの警告—マスク・ファシズム[2]-(松沢呉一)
「スペイン風邪流行時の「マスクをしている人は感染しやすい」説—マスク・ファシズム[1]」の続きです。
マダガスカルで初の死亡者が出て世界は落胆
あーーーーー、この日が来てしまったか。
世界の期待を一身に集めていたマダガスカルで5月17日に1人目の死者が出てしまいました。
「worldometers」より
納豆王国・茨城県で初の感染者が出た時と同じくらいショックです。
言うまでもなく、世界を救うはずだったCovid-Organicsの件です。
メガネの人はマダガスカルのアンドリー・ラジョエリナ大統領。元DJらしいですよ(イベントの企画をやったり、広告の仕事をやったりしていて、DJもやったことがあるって程度みたいですが)。
マラリアに効力のあるアルテミシア(ヨモギ属のことで、マダガスカルで育成されるヨモギに薬効がある)を中心に伝統的な薬草をブレンドしたドリンクで、「予防に効く」みたいな言い方もしていますが、治療効果があるとまで言っています。マラリアの治療薬がCOVID-19に効くという話も出ているので、まんざら与太ってわけでもないかもしれない。
マダガスカルは300人を超える感染者がいながら、5月16日までは死者ゼロ。1人亡くなって致死率0.5パーセントくらいなので、平均致死率と大差ない。つっても徹底した検査をしない限り、こんな数字にはなかなかならないですから、効果が完全に否定されたわけではありません。感染者数が少ないので、どちらにしても効果はわからず、もっと感染者が増えて欲しい(なんてことを)。でも、予防効果があるとすると、なかなか増えないのが痛し痒し。
まだ夢は捨てまい
Covid-Organicsを感染した人に飲ませていて、全員治っていると言っていた宣伝文句がもう使えません。たいていほっとけば治るわけですが。
ただ、今回亡くなったのは57歳で、糖尿病と高血圧が持病です。基礎疾患をダブルでやっていたのですから、死ぬのはおかしくない。アフリカの国としては比較的マダガスカルは寿命が長くて、平均寿命は66歳ですから、先進国基準で考えるよりずっと年寄りとも言えます。
Covid-Organicsを飲んでも基礎疾患がある人は死ぬこともあるけど、基礎疾患がなければ治癒すると言い続ければいいんじゃなかろうか。
アフリカ全体と比較すると、マダガスカルの人口当たりの感染者数は4分の1くらいかと思います(計算に自信がないですけど)。島国のためかもしれないですが、これをもってCovid-Organicsのためだとなお言い張る手もあります。
これに対してWHOは「効果は確かめられていない」「決められた臨床試験をやれ」などと文句をつけ続けていて、大統領は「アフリカだからってバカにしてんだろ」と反論。
WHOのテドロス・アダノム事務局長はエチオピア人ですから、そんなことはないと思いますが、こんなもんが効いた日にはWHOの面目丸潰れです。潰してやればよかったのに。
今のところ、他国に対してCovid-Organicsを寄付しているようで、値段がわからないのですが、どうせ日本円で数百円でしょう。効かなくてもおいしければいいんじゃね?
まだ世界には死亡者が出ていない国が30カ国以上ありますから、予防薬はそれらの国が打ち出してくるのを待ちましょう。
※2020年5月18日付「FRANCE24」 マダガスカルは元フランス領で、公用語もフランス語ですから、Covid-Organicsについてはフランスで大きく取り上げられてました。この写真いいな。
WHOが中国寄りなのは事実としか思えない
それにつけてもWHOです。COVID-19対策にミスったことを中国とWHOのせいにしてごまかしているとしか思えないトランプの肩を持つ気はないですが、「トランプが言っているから間違い」「ネトウヨが言っているから間違い」という考え方を私は採用しません。これは自身の判断を放棄する考え方です。トランプにしてもネトウヨにしてもたまには正しいことを言うことはあります。
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