松沢呉一のビバノン・ライフ

マスクをしない人に暴行を加えるフィリピン自警団とNY警察—マスク・ファシズム[6]-(松沢呉一)

カメルーンではマスク着用の義務化で反政府派潰し—マスク・ファシズム[5]」の続きです。

 

 

マスクに対する姿勢を分類

 

vivanon_sentenceざっとマスクについての政府の姿勢を分類すると、以下のようになります。

 

1)法的に義務化して、罰則もあり、厳しく運用している国

2)法的に義務化して、罰則もあるが、厳しくは運用していない国

3)法的に義務化しているが、罰則はない国

4)法的に義務化していない国

 

これに対して国民がどうしているのかの基準があって、4は「義務化していないが、国民の多くがマスクをしている国」と「法的に義務化しておらず、国民の多くはマスクをしていない国」に分かれ、前者は日本、後者はスウェーデンやベラルーシになります。

法とは別に、政府機関が着用を推奨しているか否かという区分もありますが、判断が難しいので省略。

中国のいくつかの都市やカメルーンはグループ1になり、中国のそれらのエリアでは「誰に対しても厳しく運用」、カメルーンは「特定の対象のみに厳しく運用」ってことになりましょう。

私の基準で言えば、どっちにしてもグループ1は完全にアウト。中国の仲間。ナチスの仲間。2と3も危うい。

改めて確認しますけど、マスクの効果は限定的です。唾液が届く距離で人と接しなければならない立場にある人が、厳密な用法を守れて意味がある。これはWHOも言っている通りで、感染していない一般の人は手洗いをすれば十分。マスクをせず家に帰ってすぐに手と顔を洗っている人よりも、だらしなくマスクを使っている人の方が危険になりかねない。

そこまでチェックしているならともかく(そこまでチェックされても困るけれど)、ただマスクをしているか否かだけを基準に罰金刑にしたり、懲役刑にするのは中身が伴っていないバカげたルールです。しかも、ルール化することで、そこに実際以上の意味が出てしまうことが問題であり、現にその問題が各地で起きています。

こちらの動画から。英国のアンチ・ロックダウン・プロテスターのプラカードにピースマークがありました。もともとこれは英国の反核団体CNDのマークですから、そっちの流れの人かとも思うのですが、マスク拒否、検査拒否、個人追跡拒否ってところまではいいとして、poisonedはウイルスのことではなく、ワクチンのことかも。とくに英国のプロテスターには反ワクチン派がいます。これについては改めて。

 

 

フィリピンではノーマスクが射殺され、突撃隊も登場

 

vivanon_sentence中国以外でも、アジアにはそんな国がいくつかあります。

とくに厳しいのはフィリピンです。ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)大統領による令によってマスク着用が義務づけられ、罰金または6か月の禁固刑です。実際に運用されてもいますので、中国と同じグループ1です。

フィリピンでは3月からロックダウンを実施していて、4月に入ってすぐこの大統領令が出ており、以降多数の人が逮捕されていて、また、大統領はロックダウンに従わないなど問題を起こした者を射殺していいとの令も出しているため、実際に射殺された人もいます。

以下の記事。

 

2020年4月4日付「Deutsche Welle

 

なんでこの写真の警官たちはマスクしてないんだべ。

この事件では、マスクをしていなかっただけで射殺されたのではなく、村役場に鎌を手にした酔っぱらいがやってきて、駆けつけた警官に対しても鎌で威嚇したために射殺したとのこと。これはやむを得なかったのかもしれないですが、普段だったら過剰とされるところでも、マスクをしていなかったため、射殺したことは問題にならないのでしょう。

こういう社会では民間からも自警団的組織が暴力装置として立ち現れます。

以下は4月28日にフィリピンのメディアRapplerが公開したもの。

 

 

 

Rapplerの報道によると、魚売りがマスクをせずにバスに乗っていたため、引きずり出されて警棒でめった打ちにされて、どこかに連行されたとのこと。警棒を持っているのは警察ではなく、役所の人間たちらしい。警察に突き出されたのかどうかも不明。

男は「何もしていない」と叫んでいるとのことです。おばちゃんたちはやめさせようとしているようですが、相手は暴力集団ですから、遠巻きに文句をつけるだけです。

ナチスの突撃隊が登場ってわけですよ。これだけ映像が残っているのですから、特定は容易ですが、処分はされないのではなかろうか。

誰にとっても明確な効果があるわけでもないマスクをつけているか否かだけでも、法が定めると絶対的な基準になってしまいます。

追記:このRapplerというメディアについてはこちらの記事を参照のこと。政府批判をしたことで、代表のジャーナリスト、マリア・レッサ(Maria Ressa)が名誉毀損で起訴されて、本年6月15日に有罪判決を受けたとのこと。

 

 

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