松沢呉一のビバノン・ライフ

世界のマスク率に見る義務化・感染者数・国民性—マスク・ファシズム[8]-(松沢呉一)

「全裸はいいけど、マスクをつけろ」と注意するチェコの警官—マスク・ファシズム[7]」の続きです。

 

 

マスクをするのが恥ずかしい・しないのが恥ずかしい

 

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ホントに文化圏によってマスクの感覚は違いますね。

以下はヴァージニア州にあるJames Madison Universityの学生サイト「The BREEZE」の記事です。

 

 

 

 

「マスクをするのは恥ずかしくない」って呼びかける内容です。そんなことをわざわざ言わなくても、大学生なんだからわかろうが。と思ってしまうのは東アジアだから。マスクをするのは恥ずかしいという感覚がある文化圏が実在します。その米国でも、100年前はマスクの義務化がなされた州や都市があったわけですが。

厚顔な私はわからんですけど、逆に日本では「マスクをしないのは恥ずかしい」という感覚の人たちがいそうです。

一方、アラビア語のサイトを読んでいたら(もちろん、自動翻訳)、前後の流れからアフリカの国だと思われる場所で、食糧配給の列に並んでいる女性が「今まで一度も食べ物を配給してもらったことがなくて、顔を隠しているのは恥ずかしいからだ」と言っていたと書かれていて、胸が張り裂けそうになりました。

ロックダウンしても、食糧の配給をしているんだったらまあいいかとも思ってしまうのですが、人間は腹が膨れさえすればいいわけではなくて、人としての尊厳というのがあります。時には感染するより、尊厳を失う方が怖い。そういう人は餓死します。

配給があるだけましで、食い物の配給さえ滞っている国がありますし、ジンバブエでは、政権が自分らの支持地域に食糧を回して、反対勢力には回さないとも報道されてます。政府側は否定していますが、ジンバブエは感染者がさして増えてもいないのに、マスクの義務化もしてますから、それもあり得そうです。

 

 

世界のマスク率が鮮やかにわかるYouGov

 

vivanon_sentence文化圏によるマスク観の違いはマスク率に顕著に表れます。

つい最近知ったのですが、どのように感染を避けているのかを国別にデータ化したYouGov「Personal measures taken to avoid COVID-19」を見て息が荒くなるくらい高ぶりました。代々木公園に全裸のナチュリストがいても、こうも興奮しない。

なによりマスク率のデータです(埋め込みがうまくいかないので、以下はSSです)。

 

 

 

どうやってデータを集めているのか疑問に思って、サイトの説明を見たのですが、この場合はおそらくモニターからの情報が主だと思います。ひとつひとつ数字を見ると納得できて、現実を正確に反映していそうです。

たとえば日本のマスク率は最終の5月4日で86パーセント。私のマスクカウントでは、この頃、東京の大きな駅の周辺だと9割を超えていましたが、これは公共交通利用者が多いためです。広く「公共の場所」で聞くと徒歩で買物に行く、散歩に行くケースが含まれてくるので、合わせて86パーセントは納得できます。

 

 

エリア別に検討する

 

vivanon_sentenceここのグラフはエリア別、国別に見ることも簡単にできて、素晴らしくよくできてますので、皆さんも元のサイトで検討してみてください。

以下はアジア・バシフィック。

 

 

オーストラリアは低いですが、アジアは全体に高い(このエリアは最終更新が5月5日まで)。

シンガポールが急速に上がったのは義務化のためです。フィリピンも同様。

 

以下はヨーロッパ。

 

 

義務化した国としていない国とが顕著に違っています。北欧はどこも低い。

 

以下は北米と中東。数が少ないので一緒にしました。

 

 

 

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