なぜここまでフェイスシールドは一般に広がらなかったのか—マスクよりもフェイスシールド[5]-(松沢呉一)
「飲食店を中心に続々フェイスシールドを導入—マスクよりもフェイスシールド[4]」の続きです。
体裁を保つだけのマスクがフェイスシールドの普及を妨げた?
コロナ騒動で、ルールの怖さをつくづく実感しました。ルールを成文化した社会では、考えることが嫌いな人、考えられない人がルールに飛びついて、そこから外れる人をリンチしたり、排除したりします。
日本は義務化なんてバカなことを国や自治体レベルでしなかった分、マシです。もちろん、業界レベル、会社レベル、店舗レベルでは義務化があったでしょうけど、義務化されたわけではないところでも押しつける人たちが出てきました。
最近まで知らなかったのですが、電車の中でマスクをつけていない人に注意をした人がいて、殴り合いの喧嘩が東京でもあったんですってね。咳をゴホゴホしていたんだったら、注意はしてもいいとして、殴り合いをしたら感染するって。
ルール化すると、それがなんのためなのかの意味が見失われて、そこに公的権威が生まれます。
完全な予防に近づける気もないくせに、たかがマスクをしただけで権威を頼りに守らない人をはじく。その時に喧嘩になるのは、マスクでイライラするからかも。
もしそうも予防が大事だと思うなら、率先して自分がフェイスシールドとN95のマスクをすればいいだけなのです。周りに咳をしている人がいたところで気にしないで済みます。
※Uvex S8510 Bionic Shield ブラック Matte Face Shield Amazonで5,269円。方向が違いますが、カッチョいいべ。鉄工所、工事現場用と思われます。カッチョいいけど、マスク以上に蒸し暑くて、夏にこれでコンビニに行くのは辛いし、モデルガンをもっている時だと通報されます。
選択肢思考にはまった世界
結局、選択肢思考に世界がはまってしまったのだと思います。「マスクをする/しない」の選択肢です。「する」を選択した末に、着用義務を法で定めた国もありますが、バカじゃねえかと改めて思います。
国によってはフェイスシールドでもいいことになっていますが、国によってはマスクは役に立たないことがわかっていても、反体制潰しに利用し、国によっては意味のない安心感を与えてロックダウン規制をゆるめたりといった予防とは別の効果を狙ったと思われます。その是非についてはなお私はわからないところがありますが、国民がバカにされているのですよ。
かく言う私もフェイスシールドはああも汎用性があるとは思っていなかったので、やっぱり選択肢思考にはまっていたことを認めざるを得ません。反省です。反省して、これからはフェイスシールドを推奨することにしました。
これがまた公的権威になって、「まだマスクしてんのかよ」になるとまずいですが、マスク一辺倒になっている現状を緩衝し、考えることを放棄した人たちに考えさせるきっかけを与えるためにはもっとフェイスシールドが日常化した方がいい。「マスクをする/しない」に「フェイスシールドをする/しない」を重ねて、周りに流されるのではなく、「どっちもする人」「どちらかをする人」「どちらもしない人」を選択すればいい。
もともとSMは道具を駆使するスポーツですし、ゴテゴテと体にアクセサリーをつけるのもまた個性。フェイスシールドを導入するハードルが低く、もともと体と体の距離がありますから、これで相当まで予防できそうです。堂々SMクラブの皆さんは営業再開しましょう。
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