松沢呉一のビバノン・ライフ

50日ぶりに北京で大量発生した感染者に見るゼロリスク対策の泥沼—罰則つき外出制限が日本に必要か?[2]-(松沢呉一)

厳しいロックダウンで制圧に成功したニュージーランドでまた感染者—罰則つき外出制限が日本に必要か?[1]」の続きです。

 

 

 

北京で感染者大発生

 

vivanon_sentence昨日更新した直後、インドのニュースサイトを見ていたら、北京で新たに100人以上の感染者が出たとの記事が出ていました。その時点ではすでに日本でも報じられていたのですが、気づいていませんでした。一気に100人以上というので驚いたのですが、こちらの記事によると、6月11日に、北京では50日ぶりに感染者が出て(おそらく2例)、翌12日にさらに5例、それからわずか3日で3桁に。ほんの数日前まで中国ではもう集団発生はないと自信満々だったのに。

 

 

2020年6月14日付「中央纪委国家监委网站 韩亚栋

 

この記事は14日時点のものですが、中国疾病管理予防センターの主任研究員である呉尊友どこからどう市場に入り込んだのかなお不明としつつ、冷凍された魚についたウイルスが生存していた可能性があるとしています。通常、物についたウイルスは数時間で死滅しますが、低温では長期生存できるらしい。

もしこれが事実であるなら、冷凍の魚やエビを生で食うと感染するかもしれず、冷凍の肉や魚を調理する場合はフェイスシールドを使用した方がいいですね。

 

 

レバノンのその後

 

vivanon_sentenceこういうことがあると、また恐怖にかられて、強い措置を求める人が増えそうですが、ニュージーランドと言い、中国と言い、制圧することがいかに難しいかってことですわ。中国ではあれだけ体温チェックをやっていても、冷凍の魚がその間をすり抜けてくる(これが原因かどうかまだわからんですが)。魚の体温チェックをしても無駄。魚にマスクさせても無駄。

前回見たように、ニュージーランドのロックダウン支持派は、「強い措置をとったおかげで短期で収束し、経済的ダメージを少なくすることができた」てなことを言っているわけですけど、その論は「このまま制圧できたとして」という条件であり、そうなる保証はどこにもない。今回中国がそうしているように、二次三次のたびにロックダウンですよ。

ロックダウンに賛成している人たちは「自分は大丈夫」って思っているのかもしれないけれど、ロックダウンが重なるごとに潰れる会社や店が出てきて、失業する人たちが出てきます。いざそうなると、人は「感染してもいいから、仕事をさせろ」になります。こうなった人はもはや怖いものなしです。

前に軽く触れたレバノンでは反体制潰しとも言われるロックダウンによって経済危機に陥り、通貨が暴落、さらに反体制運動が激化しています。

先週末の様子。

 

 

機動隊がプロテスターを殴っている写真も出ていますけど、香港警察ほどひどくはなく、香港慣れしていると、「レバノンの警察は優しいなあ」と思えてしまいます。

 

 

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