松沢呉一のビバノン・ライフ

インド軍と中国軍の衝突で63名死亡(武器は棒)—罰則つき外出制限が日本に必要か?[3]-(松沢呉一)

50日ぶりに北京で大量発生した感染者に見るゼロリスク対策の泥沼—罰則つき外出制限が日本に必要か?[2]」の続きです。

 

 

 

インドと中国の紛争激化か?

 

vivanon_sentence北京の新規感染者はほとんどが軽度で、関節に不快感を訴えているのが多いのが特徴といった話が出てますが、経路はなお不明。冷凍サーモンではなく、人が持ち込んだ可能性も十分あります。検査の精度が低いんですから、感染した人を完全に排除することはできないってことですよ。

そもそもゼロにするだの、制圧するだのという発想に無理があるのです。そんなことができるんだったら、インフルエンザもHIVも制圧すりゃあいい。水虫だって制圧できないのに、何を言っているのかと。

天安門もチベットもウイグルも力で制圧できたかもしれないけれど、ウイルスはそうはいかんて。

北京で新規感染者が出たことを私はインドのニュースサイトで知ったのですが、なんでそんなところを見ていたのかといえば中印紛争の記事を読むためです。

1962年から、半世紀以上にわたる「歴史ある紛争地域」にあるラダックのガルワン・バレー(Galwan Valley)という場所です。世界には観光客が行けないエリアというのがあって、そのひとつがここです。私がラダックに行った時も陸路は使えず、飛行機です。

※「会談が行なわれたが、成果なし」と伝える昨日(6月18日)の報道。この写真は古い資料写真だと思われます。

 

 

使用兵器は棒

 

vivanon_sentence5月初旬に最初の衝突があって、ここまでのインド軍の死者は20名、中国側も死者が出たと言ってますが、人数は発表しておらず、インドの報道によると43名とのことです。なぜか中国側は情報をあまり出してません。

インドの報道によると、亡くなったインド兵は中国兵に棒で殴られたとのことです。棒?

インドのテレビがその時の様子らしき映像を出しています。

 

 

 

これは棒かもな。第二中学と第四中学の生徒たちが多摩川の川原で乱闘しているような感じです。この辺は標高が高いので、酸素不足で死にやすいのかもしれん。これはホントの話で、高地に生まれて育った人じゃないと走るのも危険。

エスカレートすると核兵器まで行きつく両国ですから、たぶん両軍に抑制が働いているのだと思うのですが、「武器は棒しか使わない」ってルールにして、この調子で続けるといいんじゃないかな。

 

 

背景はCOVID-19

 

vivanon_sentence小競り合いのレベルですが、両国の衝突で死者が出たのは1975年が最後だそうで、十分に大ごとです。

「世界がこんなんになっている時に何をしてるんだ」ってことですが、まさにこんな時だから起きたようです。

 

 

 

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