松沢呉一のビバノン・ライフ

COVID-19の致死率は0.4パーセントまで落ちている—罰則つき外出制限が日本に必要か?[4]-(松沢呉一)

インド軍と中国軍の衝突で63名死亡(武器は棒)—罰則つき外出制限が日本に必要か?[3]」の続きです。

 

 

 

伊藤咲子の歌を聴きながら考えたこと

 

vivanon_sentence一昨日行った銭湯には森林浴がありました。温室みたいなガラス張りの中でミストを浴びる趣向。これはたまにありますが、ここが珍しいのは、その中だけ有線らしきBGMが流れていて、その時にかかっていたのは伊藤咲子の「きみ可愛いね」でした。

 

 

堂々とした歌いっぷりを聴いて、「伊藤咲子の歌はいいな」と生まれて初めて思いました。当時はそうは思ってなかったけれど、今考えると伊藤咲子ってエロいかも。ってなことも考えつつ、COVID-19による「見えない死者」を計算するのは大変だなと考えてました。

このところ書いていたように、どこの国もCOVID-19以外の病気で病院に行く人が大幅に減ってます。「院内感染が恐い」「病院の負担を増やしたくない」など。そのために病気の発見が遅れたり、治療が遅れたりして亡くなる人たちもいます。どっかに出てましたけど、COVID-19によるストレスで病状が悪化して亡くなる人もいるらしい。

超過死亡概念によって、人口動態統計から「見えない死者」を算出する時に、「過去5年間の平均よりもこれだけ死者が増えたので、その差はCOVID-19によるものである」という程度なら私でも計算できますが、他の病気で亡くなる人の分を引かなければなりません。これも間接的死亡として入れてカウントするという考えもありましょうが、この考え方は医学的ではない。

スペインのように死後検査を実施している国だとまだしもとして、それ以外だと計算がいよいよ大変。他の数字から、これも類推できるとは思いますが。

 

 

精度が低い検査で完全を目指すマヌケたち

 

vivanon_sentence「きみ可愛いね〜」と口ずさみながら家に帰って検索してみたら、すでに各国の統計局や研究者が奮闘してまして、軽く読んだのですが、私が理解できない高2レベル以上の計算が続くため、途中で挫折しました。

死亡検査をやっている国が少ないのは当たり前で、精度の低い検査をしたって意味がないからです。生きているうちなら、問診をして、その症状から診断することで精度を上げることができますけど、それにしたって限界があって、まして死亡者の検査結果は不正確です。その不正確さをまた計算に入れることになるのでしょうけど、死んだ人が生き返るわけでもないのだから、そんなことにリソースを割くのは無駄であり、死後検査をしないことを批判はできない。

でも、「ゼロを目指す人」「100パーセントを目指す人」はこういうのも把握しないと安心できないのだと思います。無駄な上に危険。検査の精度が低いってことが決定的です。すべての国民を強制検査したって、完璧にはならない。それでも全体主義国家中国はやりかねないですが、あの国のメンツをかけて対策をとっても北京で感染者が大量発生するのです。

ニュージーランドでは、特例措置のために英国から一時帰国したニュージーランド人が感染していたことによって、その特例措置は廃止にするらしい。親族が亡くなっても葬儀のために帰国できなくなるわけです。ゼロを目指す国家は中国化する。

伊藤咲子のこの曲もいいですね。

 

 

 

致死率0.2パーセント?

 

vivanon_sentence銭湯でもうひとつ考えていたことがあります。

先日出したスウェーデンの数字です。感染者はなお増えているのに死亡者が減っています。おそらく当初の病院と介護施設での感染が尾を引いていて、やっと落ち着いてきたところだろうと想像します。当初感染した人たちはすでに亡くなるか、治癒していますけど、そこから感染した医療関係者や介護士たちが感染をその層に拡大し続けていたのでしょう。

 

 

next_vivanon

(残り 1607文字/全文: 3299文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ