松沢呉一のビバノン・ライフ

抗体検査の精度はあみだくじと同じだった(米CDCのガイドラインより)—罰則つき外出制限が日本に必要か?[6]-(松沢呉一)

スウェーデン公衆衛生局によると70歳未満の致死率は0.1パーセント—罰則つき外出制限が日本に必要か?[5]」の続きです。

 

 

誤判定は最大51パーセント!

 

vivanon_sentence皆さん、米CDCのこのガイドラインは読みましたか?

 

 

 

 

5月末に出ていたものですが、私は見逃してました。

抗体検査は精度が低いと当初から言われていましたから、「どの程度なのか」が知りたくて調べても、数字までは見つからなかったことは前に書いた通り(どこに書いたかわからなくなりました)。

日本の研究者で30パーセントの誤判定が出ると言っているのがいましたが、あくまで仮想の数字でした。「仮にここでは30パーセントとして」といった前提として出していただけです。仮想ではあれ、そういった数字があり得るってことだけはわかりました。3分の1もミスが出ることがあるのかと驚きました。

私は今反省期に入っていて、見逃しているデータや最近になって公開された報告書の類いをチェックしているのですが、「抗体検査の精度についても詳しい数字がもう出ているのではないか」と思って検索したら、米CDCのガイドラインに行きつきました。

このガイドラインでは、最大で半数以上(51パーセント)の誤判定が出るとしています。3分の1どころではなかったのか!!! 1ヶ月遅れで愕然としましたよ。

 

 

1回の検査でわかることはほとんどないと思った方がよさそう

 

vivanon_sentenceなぜ今まで数値が出ていなかったのかもこれでわかりました。ブレが大きいのです。正しい判定が出る率は「49パーセントから95パーセント以上」と幅があります。

対象の陽性率に左右され、陽性率が高いグループだと誤判定率が下がる。私の頭では正確に理解することは無理ですが、陽性率の高いグループではまぐれ当たりが増えるってこと以上に当たるよう。しかし、陽性率の低いグループでは私の提唱しているあみだくじ式検査キットとたいして変わらない。

こんなんで人類はウイルスの完全制圧を目指していたのかと愕然とします。スペイン風邪の時のワクチンと変わらんではないか。

 

 

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