松沢呉一のビバノン・ライフ

感染者が増えているのに死亡者がゼロに近づいているスウェーデン—山本太郎による「スウェーデン方式は失敗」発言を批判する[上]-(松沢呉一)

民族の差、宗教の差、エリアの差—YouTubeで見る脇毛[4]」の続きです。

昨日の「世界の卑怯」中継の中で触れた「山本太郎のスウェーデン方式の否定はデタラメ」って話をまとめました。あの冒頭で説明したように、「“卑怯”は同時に“世渡りがうまい”“見せ方がうまい”といった意味でもあって、それがないと支持が得られない。小池百合子も吉村洋文大阪知事も山本太郎も卑怯、ロフトの平野さんも卑怯」ってことなのですが、山本太郎がスウェーデン方式について失敗と切り捨てた点については、徹底批判するしかない。

ちょうど昨日、スウェーデンの公衆衛生局が重要なガイドラインを出していますので、その件も加えておきました(これは次回)。

なお、昨日の「世界の卑怯」はもうしばらく購入できるそうです。たぶん 2回目もやります。

 

 

 

山本太郎は知りもしないことを知ったように言うのはやめた方がいい

 

vivanon_sentence

山本太郎はいい加減だな。小池百合子の経歴のいい加減さと違って、都知事選においては論点にはならないのですけど、事実は事実として確認しておきます。

 

 

 

この中で、マスコミからの質問を受け付けていて、53分40秒くらいからの「コロナウイルスへの対処は大げさすぎるのではないか」との質問に対して、山本太郎は「全体として免疫を獲得していこうということはことごとく失敗しています。北欧を見てみても」と言ってます(この時の文字起こしはこちら。連日、全文文字起こしをしているのは感心)。

この質問者は、信用するに足らない話を持ち出しているので無視してもいいし、これはおもに国の政策ですから、その意味でも無視していいのですけど、山本太郎の答えもまた信用するに足らない。

ここでの「北欧」はスウェーデンのこととしか思えないですが、山本太郎はスウェーデンのことをろくに調べてねえな。私も当初勘違いしていましたが、スウェーデン方式は集団免疫を前提にしたものではありません。こういう誤解が絶えないため、国家疫学者のアンダース・テグネルが「集団免疫を目指しているのではない」と繰り返し説明している通りです。

 

 

スウェーデン方式についての今までのおさらい

 

vivanon_sentence今まで書いてきたことと重なりますが、改めて説明します。

以下はスウェーデン公衆衛生局のデータです。

 

 

 

 

一番上は、感染者数。人口当たりの感染者数は多いですけど、これは当たり前。それを前提にした戦略なんだから。しかし、6月になって急増しています。ヨーロッパ各国では減少しているのに。「感染者数が多いのは失敗」という考え方でこれを見るとたしかに失敗しているようです。

横ばいが続いていた感染者数が6月になって増えたのは4月30日以降検査を拡大し続けてきたからです。おそらく6月にさらに検査を拡大したのだろうと思います。一週間のうちの増減が激しいのは、スウェーデンは週末に休みをしっかりとるためです。いつもと一緒の仕事ぶりってことです。

この数字はスウェーデンの冷静さの表れです。精度が低かった時期は検査を必要最低限に抑え、無駄な検査でノイズが増えて、医療機関の負担が膨らむことを避けました。

国内企業がより精度の高い検査を開発したことに合わせて検査を拡大しています。これについての数字は見つからなかったのですが、誤判定は10パーセント以下といった精度だろうと推測できますので、あみだくじレベルの検査ではありません。2度検査すればだいたい確定。

 

 

完成に近づくスウェーデン方式

 

vivanon_sentence真ん中のグラフは集中治療室に入った人の数、つまり重症化した人の数、下は死者数です。

3月から4月にかけて重症者が多く、死者数は4月にピークがあり、現在はゼロに近づいてきています。アンダース・テグネルの最新のコメントでは、すでに昨年の同時期に比べて、過剰死亡がないところまで来ていると言っています。つまり、「見えない死者」もいなくなってきているのだと。

感染者がああも増え続けているのに、どうしてこうも死者数が減っているのか不思議じゃないですか? これがスウェーデン方式です。

 

 

next_vivanon

(残り 878文字/全文: 2680文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック