松沢呉一のビバノン・ライフ

抗体ができると再感染しない可能性が高いとスウェーデン公衆衛生局—山本太郎による「スウェーデン方式は失敗」発言を批判する[下]-(松沢呉一)

感染者が増えているのに死亡者がゼロに近づいているスウェーデン—山本太郎による「スウェーデン方式は失敗」発言を批判する[上]」の続きです。

 

 

あみだくじレベルの検査による報告はリセットすべし

 

vivanon_sentence前回確認したように、スウェーデンは集団免疫を目標にしているのではなく、あくまで結果としてそうなる可能性があるということに過ぎません。そうならなくてもスウェーデン方式は成立します。

そこに誤解があるのですが、集団免疫はもちろん、スウェーデン方式に対する疑問のひとつは、抗体ができてもまた感染する例があるとの報告が中国や韓国からなされていたことでした。制圧しない限り、感染者が出続けるぞと。

しかし、動物実験でも再感染はないと明らかになっています

 

 

 

2020年6月23日付「東京新聞」(共同通信配信記事)

 

 

再感染しない状態はどこまで続くのかについての確度の高い答えは時間が経たないとわからないですが、すでにここまでの例については再感染しないことは確定しつつあり、中国や韓国での再感染の報告はPCR検査のミスだったと言われています。あみだくじレベルの検査に右往左往しやがって。

 

 

抗体ができた人はしばらくの間感染を恐れる必要はない

 

vivanon_sentence以下は一昨日スウェーデンの公衆衛生局が発表したガイドライン

 

 

 

「抗体検査の結果を利用できますよ」というお知らせです。抗体ができている人は、半年間は再度感染しない可能性が高いため、ハイリスク・グループに属する人たちでも家族や友人と過ごすことができると言っています。「半年間」としているのは、時間が経っていないために先がわからないだけで、数年続くかもしれません。

「感染した者勝ち作戦」が正式に始動です。この状態になると、抗体ができている人は感染を恐れることなく、どこに行っても、何をやってもいい。医療従事者はノーガードで患者に接することができます。オフの日に遊びまくってもいい。ハイリスク・グループの人たちも気兼ねなく人と交流ができます。

いよいよ社会活動はスムーズになりますし、感染者が多いほど安定します。これは集団免疫とはまた別の考え方です。

前から言っているように、スウェーデン方式は、第2波、第3波に対して絶大な強さを発揮します。いつまでも感染を恐れ続け、そのたびにロックダウンをして経済が停滞し、倒産と失業が出続け、自殺者が出続ける国々と違って、スウェーデンはこのままでいいのですから、ここからはっきりと差が出てきます。

 

 

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