松沢呉一のビバノン・ライフ

問題は夜の街よりも老人施設—マスクよりもフェイスシールド[7]-(松沢呉一)

ナッジ効果もフェイスシールドの方が上—マスクよりもフェイスシールド[6]」の続きです。

訂正:「ヤヌシュ・コルチャックがゲットーで書き残した言葉—ウイルスとウイルス恐怖症に覆われる世界[8]」に今回書いていることと反する記述をしてしまいました。あちらは間違いでした。訂正を入れました。日本では老人施設の対策は何ヶ月経ってもまだできていません。できていないのにホストばかりをやり玉にしている状態です。

 

 

人気のフェイスシールド・シリーズ

 

vivanon_sentence「ビバノンライフ」の過去記事で、ずーっとアクセスが続いているのは「マスクよりもフェイスシールド」シリーズです。脇毛シリーズよりアクセスが多いのですから、どれだけ人気かわかりましょう。

店の人がマスクをしているよりも、フェイスシールドをつけている方がいい印象になるのは私だけではないはずで、導入を検討している店の人たちが検索しているのだろうと思います。そしたら、拘束器具にくくりつけられたマスクの男とフェイスシールドをした女王様の写真が出てきてビックリですよ(笑)。

最近は演劇関係でフェイスシールドの導入が増えていますし、新宿シアターモリエールで多数の感染者が出た件で、フェイスシールドを客に配布していたのにつけていなかったということで注目されているようです。

そこで検索してみたら、チンコ・マスクの写真が出てきてビックリですよ(笑)。講読者じゃないと、あの写真のキャプションが読めないので、ワケわからんですね。

演劇だと、しばしば役者が動き回って唾液を飛ばすため、エアロゾル化したウイルスが舞っている可能性があって、だから観客のすべてが濃厚感染者ということにされたわけで、その状態になっていた場合は防げないとして、役者の唾液が直接客に届いて吸い込むこと、目に入ることはフェイスシールドで防げるのだから、つければいいのに。

つけたことがないと大仰に感じられたり、見えにくくなると思うのかもしれないですが、つけると違和感がないことがわかるはずです。好きな出演者の唾液を浴びたいマニアもいるでしょうが、つけないのは、なにより他人の視線でしょう。

つけるもつけないも個人で判断していいのですが、つけない判断をして感染したのは自分のせい。

報道によると、劇場や主催にも問題があったようですが、一方的に被害者ヅラして取材を受けている観客もどうなんかと思います。言われなくてもつければいいし、私は劇場が用意しなくても、最前列ならフェイスシールドを持って行きます。いつ感染してもいいと覚悟している私でさえも。

※2020年7月14日付「FNNプライムオンライン

 

 

マスクが効果的な対策を妨害している可能性

 

vivanon_sentence報道によると、観客はマスクをつけていた人が多いようです。言うまでもなく市販のマスクでは感染を防げません。

マスクをつけている安心感でフェイスシールドをつけなかったのかもしれず、マスクは感染を拡大した可能性があります。

「自分で判断して自分で決定する」という考え方よりも「人の目を気にして周りに合わせる」という人たちが多いのでしょう。また、「感染したら自分の判断ミス」と考える人より「感染したら誰かのせい」と考える人たちが多いのです。

ここまでそこそこ日本はうまくやってきて、ここから路線変更をすることで、経済的ダメージを少なくすることができるのではないかとの期待も少しはあったのですが、こういう人たちが多い現状ではやっぱり無理。

香港は自分で判断できる人が多そうですが、親方がアレですから、無理でしょう。今さら交通公共を利用する場合にマスク着用をしないと罰金だってさ。

※2020年7月13日付「Bloomberg

 

 

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