第1波と第2波の死亡者数の変化—ベルギーで異常に多い死亡者が出た理由[追加編 1]-(松沢呉一)
「ホストクラブ経営者が想像していた以上にこの社会はゲスかった—ベルギーで異常に多い死亡者が出た理由[6](最終回)」には続きがあって、途中まで書いてあったのですが、長くなるのでカットしました。しかし、重要な話のような気がしないでもないので、改めてまとめておくことにしました。今まで書いてきたことの繰り返しですが、「ホストはどうでもよくね? それよりも介護施設では?」ってことを数字で説明してみました。
今日からギリシアではマスク着用義務が実施されます
今日からギリシアでは公共交通全般、および飲食店やスーパーマーケット等を含む公共の建物内ではマスク着用です。違反は罰金です。ギリシアに行く用事のある人はマスクをもっていきましょう。行く人、いないか。
2020年7月28日付「ΣΚΑΪ」
この写真の人は市民保護副大臣。
ギリシアは感染者は4千人台、死者は2百人台で、全然たいしたことはないのですが、感染者がゼロに近づいていた6月に比べると、現在はまた2桁が続いていて、1人から3人程度ながら連日死亡者がまた出ている状態のため、引き締めのためのナッジ効果的なものを企図したのだと推測します。
各国で、第2波と言える感染者の増加が見られます。しかし、そんなに慌てなくていいんじゃなかろうかと私には思えています。以下、それを数字で見ていきます。
ベルギーが典型であるように、カウント方法が特殊な国がありますし、検査数、検査条件も違うため、数字を取り出して各国比較をするのは難しく、大きな勘違いをしてしまいかねないのですけど、ここではざっとした傾向だけを見ていきます。
数字を見るのが面倒な人は一番下の南アの話から読めばよろしいかと。
香港の感染者と死亡者
「台湾ではすでに不要のフェイスシールドが日本や香港ではまだ必要—マスクよりもフェイスシールド[11]」に書いたように、香港では感染者が急増していてます。
人口745万人ですから、日本と同じく焦りはしましょう。
2020年7月27日付「worldometers」より
医療崩壊寸前という記事も出ていて、この先どうなるかわからないですが、今のところ死者数は1日1人か2人程度です。
2020年7月27日付「worldometers」より
今現在の感染者数に照らすと、致死率は1パーセントから2パーセントですので、さほど心配はいらないような気もします。
「いや、把握されていない超過死亡者はもっといるはずだ」という意見もございましょうが、それはつねにどこでもいることです。把握できない層が増えているわけではなく、むしろ検査の拡大によって超過死亡者は減っている可能性もあります。ここは私もわからんですけど。
スペインの感染者と死亡者
ヨーロッパでもひとたび落ち着いていた国々で、感染者が上昇しつつあります。
ベルギーもそうですし、以下はスペインです。
2020年7月27日付「worldometers」より
やはり完全に制圧するのは難しいのです。
前から言っていたように、ロックダウンでウイルスを制圧するという考え方は継続性がありません。2波3波が来ることは他の感染症の例からも明らかであり、その段階で治療薬ができていること、ワクチンができていることが前提になっている賭けです。
なぜかスウェーデン方式は「賭け」とよく表現されますが、私にはそれ以外の国もすべて賭けに出たのだとしか思えません。継続性がない一発勝負の賭けです。うまくいっているように見える国もありますが、その失敗が各国で起きています。日本もそうです。
しかし、スペインでは死亡者はほとんど増えてません。
2020年7月27日付「worldometers」より
ピーク時の数値が大きいため、6月半ば以降はゼロに見えますが、時折死亡者は出ています。7月に入ってからはゼロから5人程度。
だったらいいんじゃね?
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