松沢呉一のビバノン・ライフ

暇すぎて金玉袋の毛を抜く男と脇毛を染める女—YouTubeで見る脇毛[11]-(松沢呉一)

緊急事態宣言の間、脇毛やヒゲをどうしていたのかで人間は2種に分かれる—YouTubeで見る脇毛[10]」の続きです。

一ヶ月くらい前に書いてあったものなので、一部内容が古くなってます。

 

 

 

この数ヶ月、人はどうやって暮らしていたのか

 

vivanon_sentenceFacebookは「ビバノン」の告知用になってしまったため、周辺の人たちの動向もわからなくなっていたのですが、久々に会って話をしたり、第三者から聞いたりして、この数ヶ月の様子がやっとわかってきています。

前と後で大きくは変わっていない人たちが大半ですけど、人によっては家賃が払えなくなってマンションを追い出されて仕事場に寝泊まりしていたり、人によっては仕事がないので東京を引き上げていたり。どこに行っても仕事はなかなかないですけど、家賃不要で住まわせてくれ、メシも食わせてくれる人がいるってことらしい。居候は気を遣いそうですけど、しゃあないですわね。

つきあっていたのと別れたのがいる一方、新たにつき合い出したのもいます。人と知り合う機会がないはずなのに、私の知り合いでは3名つきあい出したのがいます。さすがと言えましょう。

3人とも女で、コロナ以前に相手と知り合っていて、コロナ期につきあい出しているはず。暇なんで、メールや電話のやりとりを繰り返しているうちに愛が育まれて「つきあうか」ってことになったんじゃないですか。緊急事態宣言中は、恋愛のチャンスだったらしい。知らんけど。

知っている範囲で感染したのもいますが、直接話は聞いておらず。咳を出し、熱も出て、寝込んだのもいます。彼は感染したと自身で確信していて、感染源もわかっているのですが、検査はしていないので、あくまで疑いです。治ればそれでよし。

意外に思ったのは、政府や東京都の要望通りに、緊急事態宣言の間は、買い溜めをして、ほとんど外に出なかった人たちが少なくないことです。世の中の大半の人はそうしていたのかもしれないけれど、私の周りにもけっこういたのですね。不良品が多いので、適当に遊んでいるのかと思ってました。

つっても遊べる場がないので、銭湯に行き始めたのもいます。モダンフリークスの福田君もそうです。人類最後の娯楽は風呂と食事と睡眠。

私も遠くの銭湯に行く以外はおおむね静かにしてましたから、そんなに変わらないけれど、銭湯のついでに3時間歩いたりしてました。家で国外の報道や報告書を自動翻訳でチェックし続けていたので、やることはいっぱいありましたが、暇で暇でしょうがなかった人たちもいるんでしょうね。

そういう場合は金玉袋の毛を抜くといいと思います。10分もあれば終わりますけど。

※私は金玉袋の毛を抜く以外に、暇な時は国会図書館のサイトで時間を潰します。田中祐吉著『医学に関する奇談異聞』(大正6年)に「金玉娘」という短い文章が出てました。江戸時代、友九郎という人物が金玉娘という見世物をやっていて(彼はスポンサーだったよう)、器量良しだったために人気を博しました。友九郎は治療をしようと彼女を妾にしたのですが、医師の失敗であえなく死んでしまいましたとさ。半陰陽ではなく、腫瘍のようなものだったのではないかと著者は書いていますが、象皮病じゃないですかね。悲しい話ですが、「金玉娘」というネーミングはポップです。「チンコのある女」みたいな。女子のハードコアパンクのバンド名によさそうです。なお、田中祐吉は多数の著書を出し、雑誌も手がけていた医学者・田中香涯の本名。

 

 

暇過ぎて脇毛を染めた人

 

vivanon_sentence

私は暇だと金玉袋の毛を抜きますが、この人はロックダウンで暇すぎて脇毛をピンクに染めました。

 

 

 

 

next_vivanon

(残り 732文字/全文: 2320文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ