ノルウェー公衆衛生研究所のカミラ・ストルテンベルグ所長は「ロックダウンは不要だった」—帰国した殺人犯から考えたこと[2]-(松沢呉一)
「南アでロックダウンは必要だったのか?—帰国した殺人犯から考えたこと[上]」の続きです。
ノルウェー公衆衛生研究所の所長はロックダウンは不要だったと明言
南アを筆頭に、ロックダウンした国でも、完全制圧なんてできていないわけですよ。最初からできるわけがないことを目指したのが失敗。
そろそろロックダウンは必要がなかったとの意見が出てきているのではなかろうかと思って、ざっと検索したところ、ボリス・ジョンソン英首相のように、ロックダウンをしたことに責任ある立場の人たちは「第二波に対してはロックダウンは必要がない」としています。日本で言えば、「緊急事態宣言はもう不要」としているのと同じです。
責任問題になるので、最初から必要がなかったとは言えないってだけじゃなく、医療器具が不足し、病院や介護施設での対策ができていなかった時期と現在では感染する層も致死率も違っていて、当初のロックダウンは時間稼ぎとして必要だったという見方もなおあるのだと思います。そこはわからんではない。
しかし、「最初から必要がなかった」と言っている人もいます。ノルウェー公衆衛生研究所(Folkehelseinstituttet)の所長です。5月の時点でそう言っています。
2020年5月22日付「THE LOCAL no」より
ノルウェー公衆衛生研究所は保健省管轄の国立機関で、カミラ・ストルテンベルグ(Camilla Stoltenberg)はその所長。ってことはスウェーデンのアンダース・テグネルと同じような立場でしょう。
首相の兄とジャンキーの妹
その立場から、ロックダウンの決定にも関与していましょうから、「今は不要と言えるが、あの時点ではやむを得なかった」とか、少しは逃げ道を用意しておけばいいのに、ロックダウンは「科学的な根拠が十分ではなかった」とし、「ロックダウンしなくても同じ程度に抑制することは可能であり、学校も休校にする必要はなかった」と言ってます。
むしろ学校を休校にしたことで、子どもたちの行動を抑えられなくなって、感染を拡大した可能性もあると。学校があっても、放課後や休みの日の行動は管理しきれないですけど、状況に合わせて、学校で「何をしていいのか、何をしてはいけないか」を日々伝えることができます。
この人はすごいなあと興味を抱いて、ノルウェー語の記事もいくつか読んだのですが、ストルテンベルク家は政治家一族で、数多くの政治家を輩出しており、父は元国防大臣・外務大臣のソーヴァルト・ストルテンベルク(Thorvald Stoltenberg)、兄は元首相・現NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)です。イェンス・ストルテンベルグは来日したこともあるんですね。存在すら知らんかった。
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